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首の痛みに目を覚ますと、外はもう明るくなっていた。
テーブルに突っ伏したまま眠っていたらしい。
背後のベッドでは昨夜と変わらず、静かに眠る南沢が居る。

煙草に火を付けようとしてから迷い、思い直してベランダに出た。
少し冷たい風が頬を撫でる。思い切り肺に煙を吸い込んで、鼻から吐いた。鼻先が冷えた。

南沢 直。
いつも周りとなれ合わず、一人で居ることが多かった。
一時期、それが原因でいじめられていたこともあったのだ。教科書や上履きを隠されていた。

悟史はゆっくりと中学時代を思い出す。
南沢と同じクラスになったのは2年のクラス替えの時だった。

話しかけられても「そう」とか「別に」とか常に素っ気なかった南沢は、クラスのボス格一派の怒りを買い、いじめのターゲットとなった。

教科書を何度も隠されてはゴミ箱や他の教室から、特に悲しそうな素振りも見せずに拾ってくる。
上履きを隠された時も黙って靴下のままウロウロしていたし、その時も涼しい顔をしていた。

事件は一派の行動がエスカレートし、南沢の上履きの中に画鋲を入れた時に起こった。




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