[携帯モード] [URL送信]

獣王国
羽根飾り オオワシ視点
「オオワシ、俺に何か付いてっか?」
「ぅえっ!?」

気付かれないように羽根飾りを見ていたつもりが、気付かれてしまった
さすが百獣の王、と言うべきか

「い、いや、何も…ついてない」
「…そう?」

付いてるワケではなく、身につけているのだから嘘にはなるまい
そんな事を考えながらそれを見つめいたら、
視界から羽根飾りが消えていた

「あっ!えっ!?」

いつの間に距離を詰められていたのか、壁際に追い込まれていた

「な、何すりゅんだバカ猫!」
「そこで噛むのかよ…んで?俺穴があきそうなんだけど?」
「そこまで見つめてない!」

しまった!
今の言い方じゃ、見つめていたと認めたようなものだ
偶然だと言い切ることもできたのに…

「じゃぁ、どこまで?」
「ぁ…」

ニヤリと笑われ、羞恥で涙が溢れてくる
泣きたくない
涙が零れないよう耐えていると、ため息をつき顔を近付けてきた

「言いたいことがあるなら言え。聞きたいことがあるなら聞け。…黙ってるなんて、お前らしくもない」
「そう…なんだが…」

泣くのを堪えてたせいで、ヘンな言い方になってしまった
それに、聞きたくないという気持ちもある

「言わないと離してやんねーぞ」
「んなっ!」

手をふりほどこうとするが、腕力が違う

「言えないような事なのか?」
「ううぅ…」

聞かずとも、答えは分かってる
ただ肯定されたくないだけだ
観念してため息をついた

「…その、腕の羽根飾り…」

そう言うと、ライオンは二の腕をみる
そこには2枚の、色の違う羽が揺れている

「こっちの、羽って…」

黒い羽を指す指がふるえてしまう
今は肯定も否定も欲しくない
どうだっていいだろ、とか、答えを曖昧にしてくれ

「オオワシの羽だぞ。コンドルが出て来たときに貰ったヤツ」
「あげてない!お前が勝手に持ってったんだ!」
「真ん中ヘンを噛んじまったから、きれいなとこだけ残したんだ」
「人の話を聞け!」

こんな時でもツッコミが出てしまう
ツッコミは俺の仕事じゃないのに
それより、この際疑問はハッキリさせてしまおう

「もう一枚の、羽は…もしかして…」

シロフクロウのだろうな
シロフクロウと仲いいし…

「コンドルのだけど?」
「えっ!?」
「だからぁ、コンドルのだって」

コンドル?
確かにあの時いたけど、そこまで仲良しじゃなかったハズだ
と言うことは…

「このバカ猫!」
「にゃっ!?」
「引っ込み思案なコンドルの羽をむしるなんて!」
「むしってねーよ!今度本人に聞いてみやがれ!」

しばらくにらみ合いが続いた
俺の羽だって勝手に取ったんだ
分かったもんじゃない!
睨み合いがイヤだったのか、ライオンが先に口を開いた

「結局、シロフクロウのだと思ってヤキモチ焼いて、それを知られたくなくて見つめてたって事か?」
「…違う、かな?」
「?を付けるな」

自分ではそうだと思っていたけど、心のどこかが『ちがう』と言った
いや、それよりも…

「…嫌いなヤツの羽でも、いいのか?」

コンドルならともかく、俺のを身につけてイヤじゃないんだろうか?

「俺、お前のこと嫌いって言ったこと無いけど」
「えっ?だって…」
「オオワシは俺のこと嫌いだろーけど、俺は嫌ってねーぞ」
「いや、俺だって嫌いな訳じゃ…」

シロフクロウといたのが気に入らなかっただけでコイツが嫌いとまでは思ってなかったし、当時のコイツはホントにイヤなヤツだった…よな?
けど、あれ…?

嫌われてると思ってた
(そう言えば嫌いって言われたことないな)
前から欲しかったって言われたっけ
(拒否したけど、本当は嬉しかった)
意外と心配性で
(アイアイの森でも必死に探してくれてた)
シロフクロウと仲いいし
(部下になれって言ったくせに)

「オオワシ!ライオン!いつまでのんびりしてるのー!?」

オカピの声が聞こえた気がしたが、それどころじゃない
俺、今何考えてた?

「わ、悪ぃ!スグ行く!」

バカ猫が何か言ってる
掴まれてた手が解放されたのが、名残惜しいなんて…

「行くぞ、オオワシ!」

呼ばれた声に心臓が跳ねる
嫌いじゃない俺の羽を身に付けて
もう一枚の羽はコンドルの

「…ぁ?あぁ…」

とにかく返事をと思ったが、うまく言葉が出なくて

シロフクロウの羽じゃないと分かって、ホッとしたのはなぜ?

これじゃ、まるで…




あとがき

両片思いもおいしいですよね!
うちのライワシは中々イチャついてくれません…


[*前へ][次へ#]

3/4ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!