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獣王国
羽根飾り ライオン視点
ふと視線を感じ振り向くと、オオワシがこちらを見つめていた

とは言っても視線が合うわけではなかった

顔ではなく、その斜め下

何かついているだろうかと自分の身体を見下ろすが、何かがあるようには見えない

(変なモン付いてねぇよなぁ…)

後ろを振り返ってみたが、やはり何もない

「オオワシ、俺に何か付いてっか?」
「ぅえっ!?」

あれだけガン見しておいて気付かれてないと思っていたのか、素っ頓狂な声を上げる

「い、いや、何も…ついてない」
「…そう?」

そう言いながらも、視線は同じ方向へ

だから俺の動きに反応するのが遅れた

「あっ!えっ!?」

容易く右腕を捉え、壁際に追い詰める

「な、何すりゅんだバカ猫!」
「そこで噛むのかよ…んで?俺穴があきそうなんだけど?」
「そこまで見つめてない!」

かかった!
オオワシも自分の失言に気付いたのか、顔が青ざめていく

「じゃぁ、どこまで?」
「ぁ…」

ニヤリと笑って聞けば、瞳に涙が溜まっていく
シロフクロウが見たらすっげえ喜びそうなカオだが、あいにく俺は楽しくない
小さくため息をつき、少しだけ顔を近付ける

「言いたいことがあるなら言え。聞きたいことがあるなら聞け。…黙ってるなんて、お前らしくもない」
「そう…なんだが…」

何だか歯切れが悪い
こーゆー時に白状させるには、これしかないよなぁ

「言わないと離してやんねーぞ」
「んなっ!」

俺の手をふりほどこうとするが、腕力が違う

「言えないような事なのか?」
「ううぅ…」

顔を赤くして口をパクパクさせていたが
(金魚みてー)
観念したようにため息をついた

「…その、腕の羽根飾り…」

そう言われて左の二の腕をみる
そこには二枚の、色の違う羽が揺れている

「こっちの、羽って…」

黒い羽を指す指はふるえていて
あぁ、そーゆー事か

「オオワシの羽だぞ。コンドルが出て来たときに貰ったヤツ」
「あげてない!お前が勝手に持ってったんだ!」
「真ん中ヘンを噛んじまったから、きれいなとこだけ残したんだ」
「人の話を聞け!」

しかし、そんな聞きにくい事か?

「もう一枚の、羽は…もしかして…」

あー…
シロフクロウのだと思ってんのか
シロフクロウ大好きだもんなぁ

「コンドルのだけど?」
「えっ!?」
「だからぁ、コンドルのだって」

オオワシの羽をゲットし浮かれてた俺に(一度飛んでいってしまったけれど)僕のもあげようか?とくれたもの

「このバカ猫!」
「にゃっ!?」

何で殴られてるんだ、俺!

「引っ込み思案なコンドルの羽をむしるなんて!」
「むしってねーよ!今度本人に聞いてみやがれ!」

しばらくにらみ合いが続いたが、キリがないから話を戻す

「結局、シロフクロウのだと思ってヤキモチ焼いて、それを知られたくなくて見つめてたって事か?」
「…違う、かな?」
「?を付けるな」

何かブツブツ言ってるが、自分でもよく分からないらしい

「…嫌いなヤツの羽でも、いいのか?」

嫌いなヤツ?
オオワシはそう思ってたのか…

「俺、お前のこと嫌いって言ったこと無いけど」
「えっ?だって…」
「オオワシは俺のこと嫌いだろーけど、俺は嫌ってねーぞ」
「いや、俺だって嫌いな訳じゃ…」

シロフクロウといたのが気に入らなかっただけだとか、当時のお前はホントにイヤなヤツだったとか言っている
ん、だけ、ど…

嫌われてると思ってた
(嫌いな訳じゃないって)
俺は前からコイツが欲しかった
(拒否られたけど)
やたら面倒見がよくて
(チョット口うるせーけど)
大事なトコロで噛んじまう
(そんな所も、何か…)

「オオワシ!ライオン!いつまでのんびりしてるのー!?」

オカピの声にハッとする
今なに考えてた!?
何か…の後!!

「わ、悪ぃ!スグ行く!」

浮かんだ考えを払拭するように声を上げると、掴んだままだったオオワシの手を離す
とりあえず、理由は聞けたしな!

「行くぞ、オオワシ!」

手を離したのに動かないオオワシに声をかける

「…ぁ?あぁ…」

振り返ればそこには、顔を真っ赤にして目をまん丸にしたオオワシの姿

かわいーじゃねぇか!クソっ!!




あとがき

ずっと気になってたんです、あの羽根飾り
タイミング的に絶対オオワシの羽だよね!
と思ってました
賛同者求む!

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