韓流映画撮影風景 完結 マネージャーと監督 ユイファのマネージャーが遅れて部屋へ入って来る。 「ふらついてるけど大丈夫なのか?」 「はい…大丈夫です…」 マネージャーは25歳の男で長身のホストっぽい綺麗な顔立ちの男で、普段からユイファの面倒見がよく、シンの事も事務所に隠してくれる優しいマネージャーだった。 「さっきのシーン…シンの事を考えてただろ?」 すると真っ赤になったユイファは、無言で頷く。 すると… 部屋に監督が入ってきた。 「凄い演技だったよ!迫真の演技とは、まさにこれって感じだね!」 疲れた表情をしていたユイファが笑顔を作る。 「私は誰もが認めてくれる女優になりたいんです!どんなシーンだって頑張りますよ!」 監督がそれを聞いて、しばらく笑うと、真剣な表情でユイファを見てくる。 「あのさぁ…頼みたい事があるんだ…」 「何ですか?監督?」 キョトンとした表情で監督を見る。 「次のシーンなんだけど…ニプレスも前張りも外して、下着だけで撮影に挑んでもらえないか?」 それを聞いたマネージャーが慌てて抗議する。 「何を言ってるんですか!どうして外す必要があるんですか?」 「下着姿になった時、前張りの形が映るだろ?」 「別にそこまでしなくてもいいんじゃないですか?映画なんですから!」 マネージャーのこの言葉に監督が怒って怒鳴り散らす。 「映画だから?だって?作り物の生ぬるい映画が流行るとでも思っているのか!?」 映画は作り物と言ってしまえば、その通りだが、監督は出来る限りリアルに作りたいと考えていた。 「今すぐ帰ってもらっても構わないんだぞ!?」 この監督の言葉は、ユイファの降板を意味していた。 「言い方が悪かったです…すいません…」 マネージャーが慌てて深々と頭を下げる。 タレントの仕事を取るのは、マネージャーや女優の力だけではない。 社長が大金を払って、映画会社や監督の機嫌を取るために接待して、営業が寝る時間も惜しんで走り回るのだ。 マネージャーの一言で、会社が潰れてしまう事にもなりかねない。 その光景を黙って見ていたユイファが口を開く。 「監督…すいません…監督の言う通りにしますから…最後まで私に続けさせてください…」 監督はユイファの肩をポンッと叩いて… 「それじゃあ頼むよ」 [前へ][次へ] [戻る] |