韓流映画撮影風景 完結
韓流映画【大蛇】
ユイファの出演する映画【大蛇】とは…
20XX年
韓国では、大蛇と名乗るマフィアと、暗龍会と名乗るマフィアの抗争が続いていた。
ユイファはエリートの凄腕の女刑事で、二つのマフィアを壊滅させるために、大蛇側にスパイとして忍び込んでいた。
大蛇に入った当初は、雑用係のような扱いであったユイファが、街中で繰り広げられた銃撃戦の際に、暗龍会のボスの命を奪った事で、大蛇のリーダーのマース・ウォンの側近まで昇格する事になった。
「はっはっはっ!暗龍会のボスが死んだか!これで…この国も我々の自由だ!」
体を包み込むような豪華な椅子に座って、タバコに火をつけるマース・ウォン。
それを見てニヤッと笑うユイファ。
(次はあなたの番よ…覚悟しておいてね…フフッ)
「カット!次は、ユイファの爆弾を仕掛けるシーンに入るから!」
監督の声が部屋に響く。
マース・ウォンは、中年の二枚目俳優で、渋い演技に定評のある俳優だ。
この男は、業界でかなりの力を持っており、共演した女優達は仕事が欲しいために、ウォンに近付いてくる者も少なくなかった。
だから共演者との浮いた話も多かった。
ユイファも、休憩時間や一日の撮影が終わってから、ウォンによく声をかけられたが、ユイファにはシンという彼氏がいたので、そっけない態度で話を聞き流していた。
そんな態度をとるユイファに、どんな女でも簡単に手に入るウォンは、苛立ちを隠せないでいた。
そして…
ユイファがウォンの寝室に爆弾を仕掛けるシーンの準備が出来上がる。
「よろしくお願いしま〜す!」
ユイファはスタッフや出演者に元気な声で挨拶する。
(さぁ!これが終わったら、次はいよいよベットシーンか…恥ずかしいけど、シンも応援してくれるから頑張らなくっちゃ!)
撮影が始まり…
ウォンが留守中に、寝室へ忍び込んで、ベットの下に爆弾を仕掛ける。
カチャ♪
ユイファの耳元で、拳銃の引き金を引く音が聞こえて、見上げる。
「えっ…?」
ユイファの頭に拳銃が突き付けられていた。
「残念だったな…お前が、スパイだって事は初めからわかっていた事だ…」
ウォンの野太い声が、部屋に響く。
ユイファは、体を震わせて、爆弾を離して両手を上げる。
「命が惜しいか?」
「は…はぃ…」
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