韓流映画撮影風景 完結
ユイファの彼氏
ユイファの両親は幼い頃に離婚していて、母親の手で育った。
そんな母親も去年病気で亡くなっていた。
ユイファが一人暮らしをするマンションに帰って、ベットで横になって天井を見つめながら考えていた。
「はぁ…ベットシーンか…どうしようか…?」
ずっとこんな台詞を呟きながら夜まで過ごしていたユイファ。
そこへ、一人の男が部屋へ入ってくる。
「どうした?今日は元気ないじゃないか?」
「う…うん…ちょっと悩み事でね…」
彼の名はキム・シンという男で、ユイファとは付き合って2年になる3つ年上の彼氏である。
キム・シンは、ユイファと違って普通のサラリーマンで、事務所には内緒で付き合っていた。
付き合ってるのがバレると、簡単に別れさせられてしまうだろう。
そんなシンが優しい眼差しで、ベットの横にしゃがみ込んで、ユイファと顔を見合わせる。
「悩みか?よかったら話してみろよ?」
「………」
ユイファがずっと悩んでいたのは、カメラで裸を映される事やセックスシーンの芝居をする事だけではなかった。
愛するシンにしか見せたくない姿を、映画のためとはいえ、全国の人間の目に晒される事になって、黙って愛し続けてくれるのだろうか…?
それを一番気にしていた。
「も…もしもだよ?私が映画でヌードになるって言ったら……反対する?」
シンは一瞬悩んだが、すぐに笑顔で返事した。
「俺は芸能界の事をよく知らないけど、有名な女優って脱いでから売れる人もいっぱいいるじゃん?頑張って来いよ?」
シンだって愛するユイファの裸が、全国の人間の目に入るのに、正常な感情でいられるはずはなかった。
しかし…
ドラマの撮影で失敗して泣いていた事…
演技が上手くなりたくて、小劇団に修行に行った事。
夢は立派な女優になりたい!と言っている時のユイファが一番輝いていた事。
素直に喜ぶ事は出来なかったが、ユイファの頑張っている姿を、誰よりも知っていたので、応援しようと思ってわざと嬉しそうに言ったのだ。
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