初恋物語(完結) 〜貴方と過ごした季節〜
花音の強がり
龍宏に抱かれる覚悟決めて頷いた花音を、優しく抱き締めた。
「……」
予想外の反応に、無言になり、手が震えている龍宏。
本当はこのまま花音をベッドに押し倒してしまいたい。
しかし…彼氏がいる花音の気持ちはどうなるのか?
涙目になって体を震わせている花音は、涙を流しながらでも、龍宏を受け入れるだろう。
亮太という彼氏がいながら、愛のないSEXをするために、全てを晒け出して、女の性に屈してしまうのだろうか…?
亮太への裏切りの行為という罪悪感で胸が痛む花音も、似たような気持ちだった。
龍宏に抱かれても、亮太と同じように感じてしまうのは申し訳ない。
ただ…龍宏の事が心配な花音は、間違った事をしていると思うが、性の玩具として龍宏に扱われるつもりだった。
本当は自分で立ち直ってもらいたい…
力になれる事なら、出来る限り力になりたい…
それが体を求めるなんて、想像もしていなかった花音が小さく呟いた。
「一回だけ……たっちゃんが…私の体を抱く事で……悔しさを忘れられるのなら……いいんだよ…?」
涙を堪えていた花音の瞳から一滴の大粒の涙を頬に流れ落ち、すでに声は泣き声になっている。
「早く…抱いて…」
こんな言葉を発して、龍宏の背中に手を回して、抱き締め返した花音の行動は、精一杯の強がりだった。
私は大丈夫だから…
たっちゃんが、またいつもの笑顔を取り戻せるなら…
一度くらい自分の体を犠牲にする事くらい、どうって事はない。
そう自分に言い聞かせていた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!