初恋物語(完結) 〜貴方と過ごした季節〜
亮太への想い…
花音が家に到着すると、亮太も寄って行く。
花音の親は留守が多いため、よくある事である。
二人並んでソファーに座ると、自分の学校が優勝した事で喜んでいる亮太が、テレビのニュースで高校野球の結果を見ていた。
「俺…映ってないかな?」
「もしかしたら映ってるかも知れないね?」
しかし、スタンドが映る事もなく、龍宏のエラーのシーンばかりがクローズアップされる。
「たっちゃん…少し可哀想…」
しみじみと言う花音に亮太が言った。
「花音って向こうのエースと知り合い?たっちゃんって馴れ馴れしいけど…?」
「うん…同じ中学だったから…」
花音は、あまり触れたくない会話なので話を逸らそうとした。
「亮ちゃんの学校の野球部って何人くらいいるの?」
「100人近くいるんじゃないかな?ってか…無理に話を変えようとしたな…?今…」
明らかに思い付いた話題を切り出した花音は簡単に見透かされた。
「そ…そんな事ないよ?何人くらいいるのかなぁ?って!」
慌ててる花音がソファーから立ち上がる。
すると亮太が花音の背後から抱き締めて、耳元で囁いた。
「たっちゃんって奴の事…好きだった…?」
「えっ…?全然!そんなんじゃないって!」
花音は、笑いながら否定したが図星だった。
正確に言うと好きだったという過去の話ではなく、今でも気になる存在だ。
そんな花音に亮太が真剣な眼差しで花音を見つめる。
「花音は…俺の女だ…誰にも渡さない…」
花音を強く抱き締めた亮太が少し強引に花音の唇を奪った。
「んんっ…」
唇を塞がれた花音が従順に瞳を閉じた。
少し強引にされるのも嫌ではない。
抱き締められた亮太の手に両手を重ねた花音が小さく呟く。
「私は…誰の所にも行かないよ?亮ちゃんだけの…ものだよ…ずっとこうして…掴まえててね…」
そんな健気な事を言う花音への愛しさが溢れてきた亮太が、もう一度花音の唇を奪い、その場で立ったまま胸への愛撫を始めた。
「んっ…んっ…亮ちゃん…こんな場所じゃ…あんっ…ダメだよ…」
「じゃあ…ベッドに行く?」
花音は小さく頷き、亮太に手を引かれて、無言のままベッドへと向かった。
ベッドの上では…
何度も亮太に抱かれている体は、いつものように愛撫を受け入れていた。
しかし花音には、いつもと違う事があった。
体は亮太の愛撫に感じて甘い喘ぎ声を発しているが、時々…龍宏の顔が頭に浮かんでしまうのだ。
「あんっ…あんっ…あんっ…あんっ…あっ…亮ちゃん…大好き…んっ…あっ…大好き…」
亮太に男根を激しく突かれながら、花音はうわ言のように何度も「大好き」と言う言葉を呟いていた。
それは自分に言い聞かせるためと、亮太を奮い立たせる事で、何度も絶頂を迎える事で、龍宏の事を忘れさせてほしいという願いもあった。
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