True Love
理想の彼氏
固く目を閉じて固まっていた梨依の頭を軽く撫でて、梨依はキスをするのが初めてだと悟った伸二は唇を離して梨依と見つめ合う。
「もしかして…キスするの…初めてだった?」
梨依は目を反らして視点をどこに合わせればいいのか迷って、キョロキョロとした後、俯いて返事をした。
「はぃ…初めてです…ドキドキしちゃって…」
心臓の高鳴りを抑えようと梨依が胸元に手を置くと、伸二も梨依の胸元に手を伸ばす。
「本当だ…ドキドキってなってるね?」
梨依は胸元を触られた事で、顔を真っ赤にして伸二の手を見つめていた。
次第に、伸二の手はゆっくり心臓の辺りから、まだ幼い小さな膨らみへ移動していく。
制服のブラウス越しに胸を軽く撫でる伸二の手を梨依はギュッと握って弱々しく抵抗した。
「伸二先輩…まっ…待ってください…」
伸二はすかさず真顔になって梨依を見つめる
「俺の事…好きじゃないのかな…?」
「いぇ…初めては先輩に…でも…まだ早いと思うんです…」
梨依は理想の彼氏像みたいなものを持っていた。
始めのうちは一緒に登下校して、休みには、遊園地とかカラオケに行って二人で遊ぶ。
1ヵ月くらい経てば、帰りの別れ際に甘いキス。
3ヵ月くらい過ぎれば、体の関係になっても好きな人なら抵抗しないで受け入れよう。
これが普通の女子中高生が考えている理想で、別に異常な考えではないと思っていた。
しかし伸二は追い討ちをかけるように説得を続けてきた。
「好きな人同士が結ばれるっていけない事かな…?」
伸二は寂しそうな表情をして、梨依から手を離し、顔を梨依から背ける。
そんな伸二を心配そうな目で、後頭部を見つめた。
(先輩…好きな人なら…順序とか関係ないのかな?
もしも…断ったら嫌われちゃうのかな…?)
そんな事が梨依の頭をよぎる。
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