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True Love
伸二先輩

廊下にペタンっと倒れた梨依は、ぶつかった相手を見上げる。


「あっ…」


(伸二先輩!!)


伸二は手を差し出して…


「大丈夫…?」


「は…はぃ!大丈夫です!」


梨依が慌てて立ち上がろうとするとバランスを崩す。


「っ…痛っ…」


右足を軽く擦りむいていたのだ。


伸二は右足の傷に気付いて、その場にしゃがみ込むと、ハンカチを取り出して傷口に当てた。


「怪我してる…ごめんね…」



伸二と目が合って梨依は俯いて黙ってしまった。


「そんなに痛いなら一緒に保健室に行こうか?」



「ぃ…いぇ…大丈夫です…」


憧れの先輩の前で緊張してしまって声も
ろくに出ない状態になっていた。


「じゃあ…こうやって…」


伸二は梨依の足にハンカチを巻くと…


「これで大丈夫!教室に行くよ?何年何組?」


そう言って名札を見る。


(2年2組の梨依っていうんだ…)


「はぃ…2年2組です…」


伸二は梨依を起こして肩を貸して廊下を歩き出すが、梨依は支えられたまま5歩くらい歩くと
恥ずかしさのあまり真っ赤になる。



「すいません…もう大丈夫です…」


「そっか?」


梨依が伸二の手を振りほどくように外す。


「あんまり傷口が深いなら病院に行きなよ?」


「はい!」


伸二の優しさに触れて笑顔になって深々と頭を下げる。


「伸二先輩!ありがとうございました!」


伸二の後ろ姿を眺めながら真っ赤になって
ほてった顔に手を当てる。


「恥ずかしかった…今の私の顔…きっと真っ赤だよぉ〜」


伸二は軽く手を上げて(じゃあな!)と挨拶しながら、梨依の視線を感じていた。


(どうして俺の名前知ってんだ?名札を見たのか…?2年2組で…梨依…?あの子って確か…テニス部の子だよな…?)


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