True Love
裕貴と梨依
裕貴に告白された数日後…
梨依は登校中に裕貴とばったりと会ってしまった。
梨依が気まずそうな表情をすると、裕貴は笑顔で声をかけてきた。
「おはよう!」
「ん…おはょ…」
梨依が俯くと、裕貴は何もなかったように、いつもと変わらぬ雰囲気で、学校であった話をしてくる。
裕貴だって気まずかったが、家は隣同士だし、顔を合わさないなんて事は不可能だったので、普段通り接する事にしたのだった。
始めは困っていた梨依もだんだんいつもの様に話せるようになってきた頃に、学校に到着する。
裕貴は梨依とクラスが違ったので、別れ際にこう言った。
「俺と梨依は家族みたいなものだから、この間の事は忘れてくれよな!」
一瞬申し訳なさそうな表情を見せた梨依は、笑顔を作った。
「うん!」
裕貴が手を振る姿を見て、梨依も振り返す。
(裕貴君だって気まずいのに我慢して話かけてくれたんだ。私も忘れるようにしなくちゃ!それでいいんだよね?裕貴君。)
確かに、裕貴の言う通り梨依とは昔から兄妹のような関係だった。
小学生の頃から公園に行って遊んだり、上級生の男にいじめられた時は、助けてくれた。困った事があると相談をした事もある。
二人はそんな仲だった。
でも中学になってからは恋愛の話題が中心になってきたので、裕貴とは一線引いて接していた。
そんな梨依が遠くに離れて行くような気がしたから、裕貴は思い切って告白したのだ。
裕貴が廊下を走って去っていくと…
梨依は廊下を歩きながら腕時計を見た。
「あっ!遅刻しちゃう!」
廊下を走り出すと、誰かにぶつかった。
「キャッ!いった〜い……」
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