スタリオ
☆
窓から差す光と、鳥のさえずりで目が覚めた。
体を起こそうと身を捩ってみるが、動かない。
それもそうだ。
僕の体は、スタンに抱きしめられているから。
自分が起き上がる前に、まずこの寝坊助を起こさなければ。
「おい、スタン、起きろ」
まずは、肩を揺すってみる。
当然のことながらこの程度では起きるはずはない。
「この…!馬鹿、起きろ!」
今度は腹を思い切り蹴ってやった。
「うぐッ!………おはよ、リオン」
二段階目で起きたか。新記録だ。
しかし、何故こいつは腹を蹴られてもこんなに爽やかに目覚められるんだ?
「おはよう、スタン。今日は早かったな」
「んー…?…………すぅ」
……。
…………二度寝。もしくは今まで寝ぼけてたか。
「いい加減にしないかっ!起きろ!」
耳元で怒鳴ったら、流石に目が覚めたらしい。
「!!お、おはよ〜」
「今度こそ起きたな?」
「うん!」
まったく…世話のやける…。
「リオン、なんか楽しそうだね」
「何が楽しいか。毎朝起こす手段を考えなければならないのに」
「ああ、それなら、フライパンをおたまで叩くのが効果的だよ。いっつもリリスにそうやって起こされるから」
前に聞いたことがある。確か「死者の目覚め」…だったか。
「できればそれは使いたくない」
「なんで?」
「………僕は僕なりの方法で起こしたいんだ」
「リオン…」
瞬間、ガバッと抱きしめられた。
[次#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!