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スタリオ
邂逅

「ふんふ〜ん♪」
鼻歌まじりで、俺は孤児院の庭に洗濯物を干していた。
リオンのピアスを手に入れるっていう奇跡が起こったから、なんだか上機嫌だ。
「よっしゃ、次で最後だな」
最後の洗濯物を干そうと腕を伸ばしたが、その手は洗濯物を放してしまった。
だって、ありえないだろ?
あの日、俺達の目の前で水に飲まれて死んだ筈だったリオンが、歩いてくるなんて。

「スタン」
俺の名を呼ぶ声、頬に触れる小さな掌、俺を見つめる深紫の瞳。
「リオン…?どうしてっ!?夢じゃないよな?」
「それは、後で話すから。とりあえず、…ただいま」
「……おかえり、リオン」
確かにそこに存在するリオンを、俺は力一杯抱き締めた。
「そうだ、リオン、これ」
そう言ってリオンにピアスをつけてやる。
「あ…無くしたと思ってたのに…」
「朝起きたら手元にあったんだ。すごいだろ」
「うん…ありがとう」

「ちょっとスタン!次は掃除してよ!」
ルーティが孤児院から出てきた。
「あ、れ?リオン…リオンなの?」
「そうだよ、ルーティ姉さん」
「……ッ」
ルーティは、泣きながらリオンにビンタした。
きょとん、とリオンはルーティを凝視する。
「このバカ!いっくら大切な人を守るためでもねぇ、自分の命犠牲にする必要なんてないのよ!このあたしがどれだけ泣いたかわかってんの?」
「……ごめんなさい」
もの凄い剣幕で怒ったルーティが、次の瞬間にはリオンを抱き締めていた。
「…ずっと、あんたを叱りたかったの。だけど、あんたは死んじゃったって思ってたから…もう言えないって…。生きて帰ってきてくれて、ありがとね、リオン」
「うん。ただいま、姉さん」


新しい生活が、始まった。


END

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あきゅろす。
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