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スタリオ
奇跡・夢現

夢を見る。
一度や二度なんかじゃない。
何度も何度も。
リオンが、俺の前から消える夢を。

俺は暗闇の中にいて、少し離れた場所にリオンが佇んでいる。
俺は、やっと見つけたリオンをこの腕で抱き締めたくて、駆け寄るんだ。
だけど、リオンは寂しそうに微笑んで、泡になって消える。
そんな夢。
朝に弱い俺が、真夜中に目が覚めて、そのまま眠れないほど、リアルで怖い。
目の前で消えるリオンを、ただ見つめることしかできない。
もどかしくて悔しくて悲しかった。
しかし、今日は違った。

いつものようにリオンは泡になるんだけど、その場所に、リオンに似た、竜族の骨を被った黒衣の少年がいるんだ。
近づいたら消えるリオンとは違って、その少年は俺が近づいても消えなかった。
少年は、
「もうすぐだから、待ってて」
と言って、俺の頬に軽く触れ、やっぱり消えた。
その場所には、リオンの左耳についていたピアスが残されていて、俺はそれを拾った。

「…!」
早起きしてしまった。
いつものように。
「……リオン」
夢の中の愛しい人の名を呟く。
ふと、手に違和感を感じて、握り拳を開いてみると、夢で拾ったリオンのピアスがあった。
「マジかよ」
こんな、奇跡みたいなこと。
今日はいいことがありそうだ。
「よぉし!」
俺は、ベッドから跳ね起きた。



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あきゅろす。
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