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スタリオ



男二人では入りづらそうな、可愛いカフェ。
最初は入るのをためらったリオンだが、目の前の青年があまりに幸せそうなので、そんなことはどうでもよくなった。
早速プリンを注文し、運ばれて来たそれに、リオンは目を輝かす。
スプーンですくい、一口目を頬張る。その瞬間のリオンの表情と言ったら。
「リオン、嬉しそう」
「うん…おいしい…」
いつもは不機嫌そうに結ばれた唇も緩み、頬も淡く染まっている。
ふと、スタンは、リオンの唇の端にプリンがついているのに気付く。
「リオン、プリンついてる」
「どこだ?」
そう言って、見当外れな場所を擦るリオンに、スタンは、
「ここ」
と言ってリオンの唇を舐めた。
「ば、馬鹿!少しは人目を気にしろ!」
案の定リオンは顔を紅くして怒っている。
「俺は、そんなもの気にしないよ」
「はあ?」
「俺が気にするのは、リオンの視線だけだよ」
「このっスカタン!」
リオンは、席を立って、出口に向かう。
慌てて代金をテーブルに置き、スタンはリオンを追いかけた。
リオンはすぐに捕まって、今はスタンの腕の中だ。
真っ赤になったその顔は、怒っているようだったが、どこか嬉しそうにも見えた。

その表情は、スタンしか知らない。


END

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あきゅろす。
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