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スタリオ


ある日。
「リオンー」
間抜けな声が響く。
「…なんだ」
それに返すのは、ぴんと通った声。
「俺に好きって言って?」
いきなりのスタンの注文に、リオンは不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。
「この間言ったはずだが」
「あれは酔った勢いでしょ?あと、僕もって感じで言ってくれたことあるけど、直接好きって言ったわけじゃないしね〜」
「ちっ」
リオンのせっかくの綺麗な顔が、更に不機嫌そうになってゆく。
「ねーリオンお願いー」
スタンも、拗ねたようにリオンに抱きついた。
「バカ、離れろ!」
「いやだ」
リオンは、顔を紅潮させてスタンの腕の中でもがく。しかし、腕力に差があるため、逃れることはできない。
「リオン〜…」
しかも、拗ねたスタンはタチが悪い。これでは、絶対に諦めそうにない。
観念したリオンがため息をつく。
「一回だけだぞ?ちゃんと言うから、すぐに放せ」
スタンの耳元で、一瞬躊躇った後、囁く。
「スタン……好きっ」
そして、恥ずかしさからかすぐさま離れようとするリオンを、スタンが先程の何倍もの力で抱き締める。
「リオン、俺も好きだよー!」
「嘘つき!すぐ離すって…」
「俺、うんって言ってないもん!」
「…ずるい」
それでも、スタンの腕のぬくもりが嬉しくて、スタンの胸に体重を預ける。
そんなリオンが愛しくて、艶やかな黒髪に唇を落とす。
それに応えるように、リオンは上半身を捻り、スタンに口付けた。
最初は触れるだけ。次第に互いに舌を絡め、深くしていく。
「……ぅ…んっスタン…」
「なに?」
漸く唇を離したリオンの口からは、最上級の愛の言葉。


「…大好き」


END

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あきゅろす。
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