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私はエクソシスト
アクマの為に


「はぁ?
アクマと間違って神田に斬られた?」



「えぇ。そうなんですよ」





黙々と食べながら答えるアレン。





「それで次の日は一緒に任務?

なんつーかまぁ…コムイさんも間が悪いよねぇ…」




苦笑しつつリンは料理を口に運ぶ。





「門番がアレン君の額の傷を、ペンタクルと勘違いしちゃったみたいなのよ」


「あぁ…なるほど。そういえばその傷、ペンタクルみたいだね」





ほぼ食べ終わったアレンは、一度顔を上げる。





「えぇ。実はこれ、ちょっとした呪いでして。
僕の左目には、アクマの魂が見えるんです」





リンの手が止まる。





「アクマの魂?」



「はい。
この世に呼び戻された、魂が見えるんです」





デザートに入ったアレン。
品数が全然違うのに、リンとほぼ同じくらいでデザートを食べ始める。





「何、それ、どんな感じなの?」



「うーん…説明しづらいですけど…あんまり気持ちのいいものではないですよ。

僕はもう見馴れちゃいましたけど」



「へぇー…そんなん見えるものなんだ…」





リンも今まで散々アクマを倒してきたが、"アクマの魂"という存在のことは、考えたこともなかった。













「では、おやすみなさい。リナリー、リン」



「「おやすみ〜」」





食堂から戻り、それぞれの部屋へ帰る。





「アレン君は、アクマを救うためにエクソシストになったんだって」



「アクマを?救う?」



「うん…」





リンとリナリーの部屋は隣だ。
二人は部屋の前で、壁に寄り掛かって話している。





「私も詳しいことは知らないんだけど…

アレン君は過去の経験から、この世に呼び戻されたアクマの魂に深い情を抱くようになったらしいの。

それからずっと、アレン君の戦う理由は"アクマを救うため"なんだって」





リンはしばらく黙っていたが、やがて口を開く。





「…どんな事情があるにせよ、よく分かんないな。

アレン自身はいい人なんだろうけど、アクマの為に戦うエクソシストなんて、ふつうありえないだろ」





アクマはいるだけでたくさんのものを奪う。
人の命、愛、幸せ――…

そういう姿を幼い頃から嫌というほど見せつけられたため、リンの中で、アクマは完全に"悪者"だった。





「私だって、分からないわ。アレン君の気持ち。

でも彼は本気で、アクマの為に戦うと決めてここに来たの。

気持ちは分からないけど、仲間のそういう決意は分かってあげなくちゃって思う」



「……リナリーは人間出来てるなぁ…」





リンはため息をつきながらそう言った。

自分はそんな風に割り切ることは出来そうにない、と思った。





「……なんかいつも新入りと気が合わないなぁ、私…」



「大丈夫よ。
何だかんだで、最終的には仲良くなるじゃない」



「まぁね…

ま、事情はともかく、アレンはいい人だもんね。


…さて、明日は早く起きてパーティーの準備だっけ?」





話題を変えたリンに、リナリーは笑って頷く。





「寝坊しないでね、リン」



「あいよ。おやすみ」



「おやすみ」





手を振って、部屋に戻る。

こうして一日は終わりを告げた。






明日、とんでもない事件が起こるとも知らずに、少年少女は眠りにつく。


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