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AST(00中編)
なかなおり
ライルは玄関で本日何度目かの溜息を吐いた。



目の前には身支度を整えたアレルヤがいる。
今日はアレルヤとハレルヤからニールのお子守を仰せ使ったのだ。

「ニール?」

アレルヤが呼ぶとひょこ、と廊下の一番奥から顔が覗く。
(遠くて見えねぇよ)
ライルは突っ込みを入れた。
ニールはおずおずとこちらを見ているが、ライルと目が合うとすぐに引っ込んでしまう。
そんなニールにアレルヤは苦笑いするとライルの肩を叩いた。
「じゃあ、宜しくね」
「………無理じゃないか?」
「頑張って」
簡単に言ってアレルヤはニールに手を振ると仕事へと行ってしまった。



(さてと………)

チラチラとこちらを気にしているのは背中越しに感じる。
しかし、振り返るとあわあわと消えてしまう。
これでは子守にならない。
「おい」
「!」
「目の届くところにいろよな」
「……………」
ライルの言葉にしゅんとしてニールはぬいぐるみを引き摺りながらリビングへとやってきた。
(あー!なんで俺は冷たい言い方しか出来ないんだっ)
しょぼんとぬいぐるみを抱き締めてこちらに背を向けているニールに胸が痛んだ。

(とにかく!俺に出来るのはこれしかないっ)

ライルは持って来たクールバックの中から特製プリンを取り出した。
それをクマの形をしたガラスのプレートに入れてから、周りに果物を盛り付ける。
ベリー類にマンゴーにバナナにメロンにチェリーにピーチ。
生クリームをたっぷりと絞ってカラメルで模様を描く。
最後にバニラと苺のアイスとキャラメルソルベを乗せて、星型に抜いたブラウニーを置くと。
「……完成」
絶対にニールはここまで豪華なプリンアラモードは食べたことないはずだ。
いつも安いコンビニプリン食べているし。


「おい」


のろのろとこちらを見たニールにその皿をズイッと見せる。
「!」
するとニールの目がまんまるになりキラキラと輝いた。
そしておずおずと近付いて来る。
パカーンと大きく開けた口からは涎が垂れそうだ。

(よし!もう一息)

「全部食べていいぞ」
「!!」
「早く食えよ、アイス溶けるからな」
「……………」
ニールはライルをじーっと見つめた。
ライルは軽く咳払いすると頬を赤くして言った。
「この前は、悪かった」
「…………っ」
「な、泣くな!」
ポロポロと零れ落ちる涙をエプロンでゴシゴシと拭く。
「ほら!食べろよっ」
ライルが差し出したスプーンを、ニールはニコニコしながら受け取った。



***




「あ、これハレルヤから」
「?」

ライルがガサガサと袋から出したのはニールと同じくらいの大きさの。
「アレルヤ人形(ウサ耳付)」
「!!!!」
ニールの周りにハートが舞ったのが見えた。
ぼっふ、と抱き着く。
「これで一人でお留守番のときも寂しくないだろって」
コクコクとニールは頷く。
「嬉しいか?」
コクコクコクコク
「また……プリン作ってやる」
赤くなりながらそう呟いて、ライルはニールを抱き上げた。
ニールは嬉しそうにぬいぐるみごとライルにぎゅっと抱き着いた。







「ニール、ただい……………なにそれっ!!?」
その後、帰宅したアレルヤは人形を見て絶叫した。




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プリンはニール一人で完食です(笑)




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