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短編+リク(00)
『犬の上手な躾方』アレニル


「ハロ!今日も最高だったぞ」
『ロックオンモ!ロックオンモ!』
「ははっ、ありがとな」




つるんとしたオレンジ色の頭を撫でてやると、ハロは嬉しそうにピカピカ光った。
くるくると回る球体にロックオンの頬が緩む。
「また次も頼むな」
『マタナ!マタナ!』
パタパタと飛んでいく相棒を見送って、ロックオンは息を吐くと踵を返した。
今日のミッションはこれで終わりのはずだ。
いますぐにでもベッドにダイブしたかった。
そんなことを思いながらくるりと体の向きを返ると、目の前に黒い壁が立ち塞がっていて。
思わず声をあげる。
「うわっ!」
「ロックオン……」
「ア、アレルヤか」
いつの間にか背後にアレルヤが立っていて。
ロックオンは驚いて二、三歩下がる。
「ど、どうした?アレルヤ」
「………」
声をかけると表情は泣きそうに歪んだが、返事はない。
ロックオンは苦笑いしてアレルヤの片目を覗き込んだ。
なんだか元気がないように見えて、兄貴分としてはほっておけない。
「アレルヤ?」
優しく呼ぶとアレルヤがぽつりと言った。
「ハロが……羨ましいです」
「え?」
「僕も、ロ、ロックオンに……頭……」
そこまで聞いてロックオンは内心で微笑む。
アレルヤはきっと甘えたいのだろう。
でもあまり甘え上手ではない感じがした。
こういうタイプは小さい時に側にいたから扱いはわかっている。
わかっているのだけど。
不器用で、ぼそぼそと言うアレルヤが可愛くて、ロックオンは少しだけ虐めたくなる。
しゅん、としたアレルヤの頭に垂れた耳がついて見えた。
「そうだなあ」
「!!」
ガバッと顔を上げたアレルヤにロックオンは冗談のつもりで言った。
「わん、て言ったら撫でてやるよ」
「わん!」
ニコニコしながら間髪入れずに鳴いたアレルヤにロックオンは唖然とする。
しかも満足げに頭を差し出してきたのには呆れた。
「おっまえ………プライドはないのかプライドは」
「プライドでロックオンが食えますか?」
キリ、とした顔で言われて脱力するしかない。
少しでも『あいつに似てるなあ』なんて思った自分が馬鹿だった。
「…………もういい」
どっと疲れたから早く部屋で休みたい。
そうだ、そもそも眠りに戻るところだったのだ。
「じゃあな」
ヒラヒラと手を振ってアレルヤの横を通り抜けようとしたロックオンを、アレルヤは呼び止める。
「あ、ロックオン」
「ああ?」





「わん」






「…………」
ロックオンは眉を寄せたままにっこりと微笑むと、頬を赤くして『待て』状態のアレルヤの後頭部をがっしり掴んだ。
「はいはい、お前もいいこいいこ」
「………っ」
ガシガシ撫でるとアレルヤがほやほやと嬉しそうに笑う。
やっぱり可愛いじゃねぇか。
少しほだされた自分にロックオンは苦笑した。





「三回回ったら、キスしてくれますかっ」
「しねぇよ!」
「じゃあ」
「あーお前ほんっっとウザいっ」




背中を向けながら。
ロックオンはニヤケる口元を必死に押さえた。














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あ、私なんか吹っ切れたなww







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あきゅろす。
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