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短編+リク(00)
Barにて。(アレ+ライ+?)


双子だって単なる個々人にかわりはない。
離れていても通じ合うとか。
離れていても痛みが分かち合えるとか。
そんなものは噂でしかない。

俺はいつだって思っている。

兄さんと全てを分かち合いたいって。
痛みだって。


なんだって、兄さんと一緒に感じていたいんだ。















「なーんて、可愛いことを思っていたわけ昔は」
「そう、なんですか」
カランと氷の音がBarに響く。
俺の、いわゆる愚痴みたいなのを一方的に聞かされていたアレルヤは困った顔をしてはにかんだ。
これがティエリアだったらキツイ一言が飛んできていただろう。
申し訳ないが愚痴るには最適の相手を選んで連れて来たのだ。
「アレルヤも飲めよ」
「えっ?いえ、僕は」
「奢りなんだから遠慮するなよな」
俺はカウンター越しに立っているバーテンダーに勝手に注文する。
「お兄さん、こいつに何か甘くて飲み口いいやつな」
「かしこまりました」
バーテンダーは静かに一礼するとなにやら作り始めた。
その手元をぼんやりと眺める。
「なあ・・・・」
「はい?」
「・・・・・・」
一瞬黙り込んだ俺をアレルヤが不思議そうに見たのがわかった。
双子って。
兄弟ってなんなんだろうな。




そんな言葉を飲み込む。





「お待たせいたしました」
コトリ、と置かれたグラスに俺は我に返ってバーテンダーを見つめた。
「わあ・・・綺麗ですね」
アレルヤにと作られたカクテルは薄いピンク色でキラキラと輝いていて。
僅かに桃の香りが鼻をくすぐる。
「お客様には、こちらを」
「え?」
「当店自慢のミネラルウォーターでございます」
そう言って俺の前にダン、と置かれたのは確かに唯の水だった。
「水かよ」
「お前は飲みすぎ」
バーテンダーは口調を砕けさせると深い溜息を吐く。
「くだ巻いてアレルヤを困らせるなよ」
それライルの奢りだからとな、とバーテンダー……兼、兄さんはアレルヤに言った。
「ノンアルコールだから」
「ありがとうございます」
兄さんの言葉にほっとしたのかアレルヤはノンアルコールカクテルを一口飲む。
その表情がぱあっと華やいだ。
「美味しいです」
「だろ」
愚弟が迷惑かけた詫び、と兄さんも笑った。
「当人同士の前で変な話聞かされて困っただろ」
「い、いえっ」
赤くなったアレルヤに俺は面白くなくて水をぐっと呷る。
「どうせ兄さんは俺よりアレルヤのほうが可愛いんだよ」
「はあ?」
「・・・・・・だって、」
子供っぽいとは思うが口を出てしまった言葉は取り消せない。
アレルヤがぽかんとした表情で俺を見ているのがいたたまれないけど。
「お前なあ・・・・」
兄さんは苦笑するとカウンターから手を伸ばして俺の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。





「本当に双子だからって分かり合えないんだなあ」


























end




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個人的には気に入っております(笑)




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