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短編+リク(00)
40000キリリク・通りすがり様『ハレライ・シリアスな感じなもの』
湿り気のあるシーツを丸めて、ベッドから床へと落とした。




ライルは気怠さの残る身体を起こしてジーンズを履く。
床に散らばる服を掻き集め、長めの髪を肩に払ったところでシャワールームのドアが開いた。


「ハレルヤ」


ライルが名前を呼ぶと、ハレルヤは目線だけで応える。
「そろそろ部屋戻るから」
「ああ」
そう頷いたハレルヤの髪からポタリポタリと水滴が床へと落ちる。
それを見てライルは溜息を吐いた。
「髪拭けよ」
「……面倒」
「風邪ひくぞ」
ライルがそう言うと、ハレルヤはタオルを無言で投げ付けた。
「……はいはい」
ライルはタオルを掴むとハレルヤの背後に回る。
傲慢な態度にはもう慣れた。



優しく髪を拭きながら、ライルは見慣れた背中に視線を移した。
この背中に傷や痕が付かない様に、ライルが気をつけていることをハレルヤは知らないだろう。
もし、爪痕を付けてしまったら。



(アレルヤは、どう思うかな)




アレルヤは……死んだニールの恋人だったらしい。


それはライルがここに来て直ぐにわかったことだ。
長い間会っていなかった兄に同性の恋人がいたことに、ライルは不思議と驚かなかった。

ただ、初めて会った時のアレルヤの表情をライルは今も覚えている。

たまに、視線を感じるがライルにはどうすることも出来ない。
話す事は何もないし、きっと彼の方が『ニール』のことを知っている。
兄と違ってライルはアレルヤに興味はなかったし、好きとも嫌いとも……仲間とも思えなかった。

それなのに。


(………こいつと、寝てるなんて)



矛盾していることは、自分でもよくわかっている。
ライルは、ふと手を止めて後ろからハレルヤに抱き着いた。
「ハレルヤ……」
「あ?」
ハレルヤは特に何もせずに、ライルに抱き着かれたままでいた。
振り払われずにいることは嬉しいけれど、少し淋しく感じる。


「アレルヤは?」


ハレルヤはライルの問いにサラリと答える。
「あいつは深い意識の底で寝てるぜ」
「そうか……」
「俺とお前のことは知らないし、覚えてもいない」
そう言ってハレルヤは漸くライルを見て、ニヤリと笑った。
「残念?」
「は?」
眉をしかめたライルの腕を自分の首から外すと、ハレルヤは向き直った。
間近で金色の瞳が光って、ライルは息を飲む。
「俺とセックスするってことは、あいつの身体とするってことだ」
「わかってるさ」
そんなことは言われなくても始めからわかっている。
わかっていて、ライルはハレルヤと何度も寝た。


(アレルヤの身体だろうが関係ない……俺が好きなのは)


そこまで考えて、ライルはきつく目を閉じた。
自分の気持ちに気付いてはいけない。
(俺は、誰も………)


ゆっくりとライルに覆い被さりながらハレルヤは笑った。
「お前の『兄さん』も、この身体でヤッたんだぜ」
ライルはシーツのない冷たいベッドに押し倒されて、顔を歪めた。
「涙零しながら喘いでた」
その言葉に少しだけ胸が痛む。

(ハレルヤは……兄さんとも、寝たのかな)

最も、それを聞く気にはなれなかった。
(ハレルヤは……俺の向こうに、兄さんを見てるんだろうか)
だから、自分と寝たのだろうか。
今まで無意識に封印していた気持ちが湧き上がってくる。



(兄さんは………気持ち良かった?)

アレルヤに愛されて。
この『ハレルヤ』の身体で愛されて。



(でも残念だね、兄さん)


ライルは笑みを浮かべてハレルヤの胸に顔を埋めた。



(この身体は……俺のものだ)





優越感を感じながら、ライルは狂いそうなほどの切なさと痛みを感じていた。





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家族ゲーム設定じゃないハレライは難しかったです;
裏希望ではなかったのに、ちょっと裏的な表現が出てきてすいませんでした(汗)



通りすがり様、リクエスト有り難うございましたっ<(__*)>




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