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短編+リク(00)
【あの痛みが恋なのだと】ロックオンBD




There are four kinds in love.
Love of the passion, the love of the hobby, physical love, love of the vainglory.
(恋愛には四つの種類がある。情熱の恋、趣味の恋、肉体の恋、虚栄の恋。)



あの胸の痛み。
今思えば、あれは確かに恋だった。





***



やけに静かで、月の光も届かない夜だった。


(喉渇いた……)
珍しく深夜に目が覚めたと思えば、驚くほどの喉の渇きを感じる。
まだ幾分か重い体を起こして時計を見ると、まだ日付はギリギリ変わっていなかった。
後数時間このまま我慢することも、寝てしまうことも出来そうにない。


(仕方ないな……)


ベッドから立ち上がり部屋を出る。
ぼんやりと食堂へ向かいながら、アレルヤは溜息を吐いた。
こんなことならペリエかなにかを部屋に持ち込んでおくのだった。
静まり返ったコロニーは、アレルヤの心を不安にさせる。
(早く水を飲んで、寝よう)



こんな中途半端な時間には流石に誰もいないだろう。
そう思いながらアレルヤが足早に食堂に入ると、白く人影が浮かび上がった。
「!!」
驚いて叫びそうになるのを何とか押さえる。
心臓がバクバクして、口から飛び出しそうなくらいだった。
誰もいないと決め付けていたから、全く予想もしていなかったのだ。
アレルヤは息を飲むとその人影をマジマジと見る。
(あ、あれは)


「ロックオン」


思わずその名を口にしてから、アレルヤは後悔した。
「アレルヤ?」
振り返ったロックオンは何処かいつもと違っていて。
アレルヤを遠い目で見つめていた。
いつも太陽のように明るくて輝いているロックオン。
アレルヤには眩しい存在だった。
それが今夜は暗い何かを感じる。
闇深く澱んだ空気。
「こ、こんな時刻にどうしたんですか?」
自分を棚に上げてアレルヤはロックオンに聞いた。
ロックオンはククッと笑うと、少し困った様に眉を上げる。
「今日さ、知り合いの誕生日だったんだよ」
もう少しで日にちも変わるけど、そう言ってロックオンはワイングラスを軽く持ち上げた。
「そうなんですか…」
だから、一人で祝っていたのだろうか。
(大切な、人なんだろうな……)
きっと、その人のことを思い出しているのだろう。
立場上、今は会うことの許されないその人のことを。


(あれ?)


アレルヤは何故かツキリと胸が痛んだ。
しかし、その痛みが何なのかはわからない。
アレルヤはズキズキ痛む胸元をぎゅっと押さえた。
そして、それを誤魔化すように笑う。


「おめでとうございます」


特に深い意味はない。
アレルヤは話の流れから自然に祝いの言葉を口にした。
しかし、ロックオンは酷く驚いたようにアレルヤを見た。
ビクリとアレルヤの体が揺れる。
(お、おかしいこと言ったかな)
もしかしたら余計なことを言ってしまったのかもしれない。
「あ、あの……」
アレルヤが焦っていると、ロックオンはふと目を細めて笑った。
「……ありがとな」
その笑みは、何故か泣きそうに見えた。
キシリ、とまた胸が痛む。
「お前は良い子だなあ」
「そんな……」


アレルヤは突然ロックオンを抱き締めたい衝動にかられた。


消えてしまいそうな、その体を自分の胸の中に捕まえておきたい。
閉じ込めてしまいたい。



そして、ずっと守ってあげたい。



「さて、戻るか」
「!!」
ロックオンの声に、アレルヤは我に返った。
(あれ?今僕は……)
ロックオンはグラスに残っていたワインを一気に飲み干すと立ち上がる。
そして、ポツリと言った。
「弟の誕生日なんだ」
「え?ロックオン、弟」
いたんですか、とアレルヤが続ける前にロックオンはアレルヤの横を擦り抜ける。
「双子の弟」



「え……っ」
「じゃあな、おやすみ」



立ち尽くすアレルヤにロックオンは手をヒラヒラ振って出ていった。








***



今でもあの日のことを鮮明に思い出す。



アレルヤは暗い食堂に佇む人影に微笑した。


「ロックオン」


「あ?」
「お誕生日おめでとうございます」
(実は二回目なんです、あなたの誕生日を祝うのは)
「なん、で」
ロックオンは目を丸くしてアレルヤを見た。
それから不信げに眉をしかめる。
アレルヤは苦笑すると説明した。
「昔、あなたのお兄さんから聞いたので」
そう言うと、ロックオンは納得したように溜息を吐く。
「まったく、兄さんは機密をペラペラと」
「はは、」
ロックオンの前にはワイングラスが二つ並べてあった。
アレルヤは胸焦がれた人を思い出し切なくなる。
あの日の彼はもういない。


数日前に自分も年を取った。
それが生きているということなのだ。
(そして、)
あの人は、今日が過ぎても年を取らない。


「僕も一緒に祝って良いですか?」


邪魔をするつもりはない。
ただ、誰かと祝いたかったのだ。
「あなた達の、誕生日を」
あの日、言いそびれた言葉。
二度と訪れることのなかった誕生日。



あの胸の痛みは。
確かに恋だった。



ロックオンは赤くなった目で微かに笑うと、アレルヤにワイングラスを差し出す。
「今夜は飲もうぜ」
「はい」



願わくば、来年もこうして祝えますように。
その時は。



(あの人が願っていた、争いのない、世界で)











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ニール&ライル!
お誕生日おめでとうございますっ(*´∀`*)
来年もこうしてお祝い出来たら幸せです〜!
あーもうっ、大好きだあっ!




当サイトでは恐ろしく珍しい本編設定でした(おいっ)
何度『ロックオン→ニール』と書いてしまい、書き直したか(汗)






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あきゅろす。
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