短編+リク(00) 淫魔ネタ3(ハプニル) 「マズい」 ハレルヤ様の言葉に俺はビクリと震えた。 「擦っても勃たねぇし、ようやく勃ったと思ったらマズいし」 「す、いません」 「ニール……具合悪いんでしょ?」 アレルヤ様の言葉に首を横に振る。 けれど、いくら隠しても誤魔化しても無駄なのだ。 この人達は人外なのだから直ぐにわかってしまう。 「もう良いから」 「部屋に戻れ」 恐れていた台詞に俺は顔を上げた。 「で、でも」 「うるせぇ、寝てろ」 有無を言わせない声に俺は頷くしかなかった。 *** 余計なものは何もない、冷えた部屋に入ると涙がポロポロ零れ落ちた。 ぐいぐい拭っても次から次へと溢れてくる。 「俺のばか…っ」 なんで風邪なんかひいたんだろう。 こんなんじゃ、何の役にもたたない唯の厄介者だ。 こんな子供、側に置いていても面倒なだけじゃないか。 きっとご主人様達はこれから他の『餌』を探しにいくのだろう。 もしかしたら俺はもういらないのかもしれない。 「やだ……っ」 そんなの嫌だ。 他の人と、あんなことしないで。 何処にも行かないで。 独りにしないで。 こんな感情初めてだ。 今までは全て諦めていた。 どんな辛い事や悲しい事があっても、自分の人生などそんなものだと思っていた。 家族も友人も、誰もいない。 それが当たり前だった。 「…………」 ベッドに横になると目の前がぐるぐると回り始めた。 目を開けているのが辛くて、ぎゅっと閉じる。 自分に出来るのは言われた通りに寝ていることだけだ。 少しでも早く良くなろう。 そしたら、またお役にたてるかもしれない。 *** 「……なんでこんな寒いところに寝てるんだ?」 「……寝具も薄いシーツ一枚だ」 ハレルヤは溜息を吐いて、眠っているニールを抱き上げた。 「軽すぎだ、こいつ」 「そうだね」 ひとまずハレルヤの部屋のベッドに寝かせる。 ふんわりとした感触に、ニールは無意識にモコモコと丸くなった。 「可愛いねぇ」 「まあな」 明日にでもニールの寝具と暖房器具を買い揃えることにする。 目が覚めたときのニールの反応を楽しみにしながら、アレルヤとハレルヤはゆっくりと左右へ潜り込んだ。 -------- 治ったら腹を空かせた淫魔ズに喰われちゃうことでしょう(笑) ちなみにニールは、部屋があって清潔なシーツがあるだけで「風が凌げて温かい贅沢な暮らし」だと思ってます。 [*前へ][次へ#] [戻る] |