短編+リク(00) 学パロ(選挙)ネタ4 「会長!」 「アレルヤ……」 昼休みに偶然憧れの会長に会えたことに、アレルヤは感激していた。 「あ、」 思わず大声で読んでしまい顔を赤らめるが、会長ことニールは笑顔でアレルヤの元までやってくる。 「あ、あの」 「アレルヤ」 そして、そっと優しくアレルヤの頬を撫でてから。 その両頬をぐいーっと左右に引っ張った。 「ほんっっっとーに!お前は学習能力がねぇなっ!」 「いひゃいれふっ!」 ニールの豹変した態度に、廊下を歩いていた他生徒達は目を逸らして立ち去る。 日常茶飯事のこととはいえ、あまり首を突っ込みたくはない。 ニールは全校生徒の羨望の的なのだ。 そして、バックには恐ろしいフィクサーがついている。 遠くで眺めているくらいがパンピーには調度良い。 「俺は会長じゃねぇ!痛みと一緒に覚えておけ!」 「ふひまふぇんーっ!」 涙を浮かべながらひたすらアレルヤが謝ると、ニールは満足げに手を離した。 そして、ククッと笑う。 「お前、泣き顔そそるなあ」 「は?」 「苛めたくなる」 (しかし……似てねぇ兄弟) ニールは片手に持っていたパックジュースを眺めて溜息を吐いた。 *** 「ハレルヤ!」 今は使われていない倉庫に目当ての人物はいた。 普段は厳重に鍵がされているのだが、その鍵を勝手に変えてしまったのだ。 自分だけには合鍵を渡すという条件で手を貸したのはニールだ。 「………」 名前を呼んでもハレルヤは寝転んだまま目を開けない。 完全無視。 ニールは苦笑いをした。 見た目は、いつもニールの後をおずおずと着いて来るアレルヤとそっくりなのに。 「ミルクティー、いる?」 ニールは買い直したパックのミルクティーをハレルヤに差し出す。 すると漸く金色の瞳がニールを見詰めた。 「………」 「はい」 ハレルヤは礼を言うわけでもなく、ただ無言で受け取る。 (懐かない野良猫にミルクやってるみたいだ) ハレルヤがミルクティーを飲んでいるのを見るのがニールは大好きだった。 ハレルヤが実はミルクティーが好きだと知っているのは、アレルヤの他には自分だけだと思う。 ストローがまた似合わない。 じーっと見ているとまたハレルヤと目が合う。 シッシッ、と手で払われてニールは苦笑混じりに部屋を出た。 *** 弁当を持って生徒会室へ向かうと、パソコンを打っていたライルが笑顔でニールを出迎えてくれた。 「………」 アレルヤとハレルヤの関係は、自分とライルの関係とは違う。 それが羨ましくもあり……哀しくもある。 ニールはいつでもライルの自慢出来るような兄でありたい。 もしライルが自分に興味を示さなくなったら。 考えるだけで絶望的な気分になった。 「野良猫に餌やってきたのか?」 紅茶を入れながらライルが笑う。 「あー……」 どうやらライルにはバレバレのようだ。 ニールは二人分の弁当をテーブルの上に広げながら複雑な表情を浮かべた。 ハレルヤにとって、あの場所は大切な逃げ場所で。 それを与えたのは自分だ。 それなのに、日の当たる場所へ引き摺り出したくなる。 「やっぱり、ニールは会長向きだよ」 しかめっ面で悩んでいるニールにライルが言った。 醒めているようで、実は熱血なところがあるのをライルは知っている。 面倒くさい、と言いながら誰一人ほっとくことが出来ない。 「うー」 「ニールはニールがしたいようにすれば良いんだよ」 「…………でも」 「難しいことは俺らに任せておけばいい」 (汚いこともな) ニールを馬鹿な独裁者にするつもりはない。 純粋なまま、自分達を照らし続ける存在。 ニールのためなら何だってする。 それが喜びで、ライルの存在理由なのだ。 兄の影の様な存在でいたい。 「だから、」 「やだ」 「………ニール?」 「お前、絶対無理するから」 「………」 「嫌なことさせるの、嫌だ」 ライルは苦笑いを浮かべた。 ああ、だからほっとけないのだ。 ライルがどんなことをしているのか知らないくせに。 変なところで聡い。 「可愛いなあ」 そんな可愛い顔で嬉しいことを言われると表情も緩む。 ライルはいつものくだけた笑顔になるとニールに向かって両腕を差し出した。 「おいで?」 「………っ」 ニールはカアッと赤く染まると、キョロキョロと周りを見回す。 そして誰もいないことを確認すると、ライルの腕に飛び込んだ。 「………お膝で食べさせてあげようか?」 「………ん」 ニールはライルの温もりを感じながら満面の笑みを浮かべた。 (………ティエリア先輩?) (今中に入ったら殺されるぞ) (は?) (万死だ) (???) ---------- べったべた(笑) [*前へ][次へ#] [戻る] |