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短編+リク(00)
学パロ(選挙)ネタ3(ハムニル気味)
朝、校門前では腕章をつけた数人の生徒と黒いスーツに金髪の男性が立っていた。
あまりに目立つ光景にニールは引きつる。


(げ、今日校則チェックの日だったか?)


昨日片付けた書類を思い出してみたが、そんな記憶はない。
どうやら抜き打ちのようだと、ニールは早々に諦めた。
「よう、エーカー先生」
おはようございます、と笑顔で挨拶して通り抜けようとしたがこの曲者の先生が見逃してくれるわけがない。
他の生徒が顔を赤く染めながらボーッとニールを見つめていたとしてもだ。
「シャツの釦は上まで留めたまえ」
「や・だ」
「ネクタイもしっかりと絞めたまえ」
「む・り」
聴く耳もたないニールにグラハムは溜息を吐いた。
「生徒会長なのだから、他の生徒の見本になるように心掛けたらどうだ?」
禁句の言葉を言われてニールはグラハムを睨み付けると怒鳴る。
「俺は生徒会長じゃねぇよ!」
周りに担がれて、というか騙されて生徒会長になったニールは未だに自分のことを生徒会長とは認めてはいなかった。


「しつこいなあ、兄さん」


「ライル!」
「やあ」
振り返ると爽やかに手を上げたライルがいつの間にか立っていた。
ニールとは違い、制服は乱さずキチンと着ている。
キラキラという効果音が聞こえてきそうだ。
「おはようございます、先生」
「お早う、ライル・ディランディ」
ライルは悠然と微笑むと、ニールの横を通り抜けすんなりと校門を潜った。
「お先に、会長」
「………っ」
ムカつく!
そもそも自分が今ムカついているのは『生徒会長』というワードで。
それはもう姿の見えないライルに騙されてせいで。


(お兄ちゃん苛めてそんなに楽しいかよっ!)


本人が聞いたら間髪を入れず『楽しい』と答えたはずだ。
「あーもう……指導室でもどこでも連れていけよ」
はあ、と朝から疲れたようにニールは肩を落とした。
グラハムは微笑すると手に持っていたファイルを閉じる。
ちなみにこの日の違反者はニールだけだった。
「茶くらいいれてやろう」
「はあ」





***



遠くでチャイムの鳴る音が聞こえる。
勿論、始業のチャイムだ。


(先生公認のサボリか)


気怠げにテーブルに伏せると目の前に紅茶が置かれた。
本当にお茶を淹れてくれたのか、とニールは苦笑する。
「有り難うございます」
「ああ」
ニールは調度良い濃さの紅茶を飲みながら頬を緩ませた。
それを見ながらグラハムは溜息を吐く。
「せめてネクタイだけでも、ちゃんと絞めたらどうだ?」
だらしなく三つも釦が外されたシャツも、まだネクタイで隠せるかもしれない。
グラハムには何故ニールがこんなにも周りに反抗するのかがわからなかった。
生徒会長のことにしても、生徒達の圧倒的な票を獲得しておいて喜びもしない。
「ネクタイか……」
ニールの呟きにグラハムが顔を上げると、ニールはニヤリと笑った。
「センセーが絞めてくれよ」
「………」
グラハムは呆れたように眉を上げる。
そして、ニールのネクタイを一瞥すると手を伸ばした。
シャツの隙間からはクッキリと綺麗なラインの鎖骨が見えた。
それだけではなく、淡く色付いた突起がチラチラと覗く。


(こんな歩く猥褻物みたいなのを放っておけるか)


「………緩めてどうすんだよ」
「愚問だな」





たっぷりと首筋に痕を残されたニールが、結局ネクタイをきっちり結ぶはめになったのはそれから数分後のことだった。










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もう全然選挙ネタじゃないですね;





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