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ぷりも・あもーれ




 まさしくそれは初恋……だった。

 「なぁロマ……運命って、あるんだな。」

 ぼんやり、食後のエスプレッソに砂糖をざばざばと入れながら、気がついたら口が動いていた。
 なんだよボス、とからかい半分の部下の言葉に、しかしただため息が出るだけ。

 「どうしたよボス。そんな衝撃的な出会いがあったか?昨日のパーティーか?それとも先週のレセプション?」

 そんな良い女居たかな、と腹心は考えを巡らしているようだったが、参加したパーティーの記憶など、俺の頭からは既に飛んでしまっている。その空っぽの頭を占拠しているのは、ただ一人のジャポネーゼ。

 「はぁ……会いたいな……」

 「ボスが誘えば落ちない女なんて居ないだろ。」

 「うんまあ、そうだろうけど……」

 自分で言うのもなんだが、見た目も良いし金もある。優しいし、礼儀だってできている。生まれてこの方、落ちなかった女は居ない……へなちょこ時代は告白さえままならなかったから、フラれたカウントはゼロでいいよな?
 けど、今回は今までの経験なんてこれっぽっちもアテにならないのだ。

 「恭弥……」

 無意識のうちに名前が唇の隙間から零れ落ちる。
 ぶーッ、とロマが盛大に吹き出した。失礼な。

 「恭弥ァ?恭弥って、あの恭弥か?」

 「他に恭弥が居るかよ。」

 自分でも何故こんなに気になるのか分からない。けれど、日本で出会った、あの可愛げのない、とびきり可愛い教え子のことが頭から離れない。

 「……目を覚ませボス。恭弥は男だ。そしてボンゴレだ。あんたも男だ。んで、俺達のドンだ。解ってんだろ。」

 「……あ。そうか。」

 言われて気付いた。
 隣でロマが転んだ。
 いや、男同士で恋愛感情を持つことが変なことだってのは重々理解している。恭弥はボンゴレの守護者で、俺はキャバッローネのボス。そこまでは理解していたけれど、それもまた俺の恋心の障害になるのだということまでは、理解していなかった。
 うわぁ、絶望的。
 がっくりと肩を落として机に伏す。けど、諦めるなんて選択肢は眼中に無い。

 「ツナに頼み込んだら、嫁にくれないかな……ほら、同盟の強化にもなる。」

 「いやちょっと待てボォス、ツッコミ所が多すぎる。」

 なんとか立ち上がったロマが、ずれた眼鏡をくいっと直す。
 解ってるさ、跡継ぎが必要だとか。恭弥は男だから嫁じゃないとか。

 「跡継ぎは。」

 「基幹細胞から卵子を作る技術が開発されたんだってな。」

 「……本気かよボス。」

 「もう、他の女なんて目に入らねえよ。……恭弥好き過ぎて。どうしよう。」

 どうしよう、とは言ってみるが、最早俺の中から諦めるという選択肢は消え去っている訳で、要するにこのどうしようは、どうすれば万事丸く収めて恭弥を嫁にできるかな、どうしよう、なのだ。

 「俺は、孫の顔が見られりゃ文句はいわねえけどな……」

 ロマはやれやれと肩を竦める。
 けれど、その表情に責めるような色はない。
 俺はにっ、と笑って決意する。

 とりあえず、口説くところから始めねえと、なんだけどな。








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一行目を書きたくて書き始めたら案の定落ちなかった系でした。残念。






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あきゅろす。
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