夏ホラー2007作品集
煩村綾弥「『君、還るはずだった浜辺の夜に』
◆煩村綾弥「『君、還るはずだった浜辺の夜に』」
◆あらすじ
事故で恋人・アオイを死なせてしまった僕こと川田俊介。夏の終わりの黄昏時、彼女が死んだ浜辺を訪れて―――
◆キーワード・カテゴリ
海/蘇生/貝殻/儀式/脳
◆文字数
7314文字(推定)
◆出だし150文字
昼間の陽射しの名残りが、砂一粒ずつに蓄積され、黄昏の湿った空気に、その温度が還元されている。
静寂(しじま)に響く波の音だけが、僕を導いていた。
サンダルを履いた両足は砂にまみれ、指の間が苛々(いらいら)する。半身を引きずるように、砂浜の中腹まで歩いて行った。
◆読者様へメッセージ
夏ホラー2007作品『君、還るはずだった浜辺の夜に』、『八日目のウォーターメロン』は『ヴァルプルギスの知識儀式(書き下ろしホラー『儀識』を加筆修正後に改題)』に続く《儀式》3部作の名目ですが、ストーリーに繋がりはございません。単独でお楽しみください。
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