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恐怖コラム
匿名の予言者
 ネット社会の発達により、人は多くの方の思想を共有したり、知ったりできるようになりました。特に大型匿名掲示板には一日万単位の人が訪れ、親睦や議論を交わしています。
 その中には不思議な書き込みを残す方もいます。そう、まるで「予言」のようなものを……。

 先日、松岡大臣が自殺により亡くなりました。突然の死に、政界もマスコミも大騒ぎとなりましたが、掲示板では全く違う方向性で大騒ぎとなっていました。
「本当に殺された」
 事前に、掲示板の人々は松岡大臣の死を知っていたのです。ことの発端は松岡大臣の死の数日前の書き込みでした。

「松岡大臣は一ヶ月以内に内閣によって殺される」

 この書き込みに、掲示板の人々はまさか、と思いました。なぜならその時それは、とても突拍子もない書き込みに思えたからです。現実的に考えて暗殺など起こるはずがないし、大臣が死ぬという話も前例がないし、第一、松岡大臣その人がずるいというか、長生きしそうなタイプだった。

 それでも、人々は松岡大臣の死についてシナリオを組み立てました。
「自殺にみせかけるだろう」
「遺書を書かされるな」
「飛び降りか首吊りだ」
 面白おかしく書き立てられたシナリオ。冗談半分に思えた予言。しかしすべては数日後、現実になりました。掲示板がざわめいたのも仕方ありません。

 このことに対し、「多数の人が集まる掲示板なのだから、一人くらいそういうの書く奴いるよ」と反応した者もいます。当たり前です。だって科学的ではない。
 ですが松岡大臣の自殺のちょうど一年前、このような書き込みもあったのです。

「一年後にZARDの人が亡くなる夢見た。同じ日に、なんかエラい人も死ぬ」

 これを偶然と思うか必然と思うかは皆さんにお任せします。ですが掲示板で予言が行われるのはこの話だけにとどまりません。
 匿名の掲示板、匿名の予言者たち。ごくふつうの人々が集まり、まるで昔から知る友のように会話ができる匿名のネット世界。
 もしかしたら予言者は、あなたのごく親しい人かもしれません。



 情報提供・影之兎チャモ



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あきゅろす。
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