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恐怖コラム
日本人形の産声
 彼女は待望の初孫であった。そのため彼女の祖父は記念に、特注で日本人形を作らせた。
 それは彼女に目鼻立ちを模して作られており、まるで生きているような微笑をたたえていた。

 しかし奇妙なことに、日本人形の髪の毛が伸びるようになった。カビのせいもしれないと疑った家族ではあったが、まるで彼女が成長に合わせるように髪をのばす日本人形が気持ちの良いものであるはずもない。
 仕方なく家族はその日本人形を物置の奥深く仕舞うことにした。

 やがて二十数年の時が経ち――、孫娘は嫁に行くこととなった。

 神前式の前の晩、孫娘が自室で寝ていると、年老いた猫が鳴くような声が聞こえてきた。何事かと廊下を渡って行くと、物置から聞こえてくるようであった。
 深夜なので家族を起こすこともためらわれ、彼女は一人、物置の扉を開けた。

 すると、目の前に女性が現れた。キイキイカタカタと機械的な音をたてながら歩く彼女を見て、孫娘は悲鳴をあげた。
 それは女性ではなく、自分と姿形の似た巨大な日本人形であった。
 日本人形は孫娘によく似た声で「ワタシジャナイノ? ワタシハオヨメサンニナレナイノ?」と囁きながら孫娘に近寄ってくる。
 ついに孫娘は気絶した。

 次に目が覚めると、あの日本人形の姿はどこにもなく、祖父に作ってもらったという日本人形も見つからなかったという。
 日本人形はどこへ行ってしまったのだろうか。
 もしかしたらあなたの後ろに……。



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あきゅろす。
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