恐怖コラム
みちづれ
十数年前の夏、ある海水浴場での話。
大学生四人が遊泳禁止の場所で高波に浚われて溺れてしまった。
助けようにも助けられず、目撃から十二時間後、せめて死体だけでも捜して引き上げようということでダイバーが派遣され、海に飛び込んだ。
しかしいつまで経ってもダイバーの一人が上がってこない。酸素ボンベも尽きた時間となり、どうしたことかと人々が慌てていると、ある船から死体が水揚げされたといい通報が来た。
船から引き上げられたのは、既に死んだダイバーと大学生四人であった。
しかし、その死体は尋常な姿ではなかった。
ダイバーが苦悶の表情で体を反らしており、その体に、十二時間以上前に死んだ大学生四人が救いを求めるような表情でダイバーにしがみついていた。大学生四人はがっちりとダイバーに四肢を絡めており、死後硬直していた体は大の男が引っ張ってもまったく外れないものであった。
ダイバーより早く死んだはずの四人は、どうやってダイバーを掴んだのだろう。
真相は分からないまま、海の闇に葬られた。
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