恐怖コラム
お札
ある青年が友人につれられて心霊スポット探索をした。
それからしばらくして、青年の周りで奇妙な現象が起こるようになった。青年自身、なにもしていないのに呼吸が苦しくなったり、具合が悪くなったり……だが病院に行っても、病気が見つかるようなこともなく。
ついに青年は霊能力者に相談することにした。霊能力者は青年をみるなり、心霊スポットに行ったことを当て、さらに悪霊が憑いていると指摘した。
「お札で流してしまいましょう。流した後はけして振り向かず、お札をみてはいけません」
手渡されたお札をもって、青年は霊能力者の指示に従い、お札を流した。瞬間、スゥッと体が軽くなり、これで大丈夫だと青年はホッと胸をなでた。
帰ろう、と青年がきびすを返す。と、一緒にきていた父親がなんと川を眺めていた。
「札が流れていくぞ」
なんてことを――。青年は強引に父親を引っ張るようにして帰った。
それから数日後。それまで元気だった父親が急に倒れ入院。病床の父親はうめきながら、青年にこんな言葉を残した。
「おまえには何も見えないだろう」
だけどな、
「俺には見える。天井に、びっしりとたくさんの顔が見えるんだよぉ」
それが最期の言葉だったという。
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