恐怖コラム お冷や 深夜勤務でウェイターをしていた大学生の男。ある日ヒマを持て余した彼は、あることを思いついた。 そのとき、タイミング良く三人客がやって来た。しかも大学の先輩だ。 男はニヤニヤしながら水を四つ用意し、持っていった。 「なんのまね? 水多いんだけど」 当然、先輩が言う。 「お客様の分用意していますが」 男の発言に客は気味が悪そうに目線を合わせる。そしてハッと気づいて、 「もしかしてイタズラ?」 「そうです。ヒマなんでやっちゃいました」 とたんに和やかな雰囲気になって、それから世間話を少し交わした後、メニューを取った。 「少し待っててください」 そう会釈して立ち去ろうとすると、止められた。 「水多いから持ってっちゃってよ」 笑いつつ男はまた会釈すると、水をひとつ手に取った。 「待てよ」 再び止められ、振り向く。 「もうひとつ忘れてるよ」 いつの間にか三人目は消えていた。 [前へ][次へ] [戻る] |