恐怖コラム
映画「アイデンティティー」
情報提供・影乃兎チャモ
この作品、実をいうとサスペンスだ。だけれどもオススメしたくなったのには、ちゃんとワケがある。
ホラーは、恐怖する人間の心理を細かく描くことで形づくられている。この作品はまさに、人間の恐怖の、とても深い部分を描いているのだ。
大雨のため、裏寂れたモーテルに一晩閉じ込められることになった10人の男女。モーテルの周囲は浸水し、彼らは身動きがとれない。
そんな中、何者かが彼らを襲い、一人また一人と殺されていく。手に、謎の鍵を残して。
最初は推理小説のように映画を楽しむ形になる。そして観客の殆どは「これは○○ではない」と気づく。そして観客の予測どおり、物語は「どんでん返し」する。
だが、その「どんでん返し」、中盤なのだ。普通の映画ならばそこで終わってしまう物語が、終わらない。
最後の最後で「やはりお前だったか」と真の「どんでん返し」がやってくる。そして、ラストに漂う余韻は、底知れる悲しみだ。
人間に生まれてしまったということへのどうしようもない悲壮が染み渡る。サスペンスだ、だけれどこれは確実に「ホラー」だと思う。
とにかく巧みでメッセージ性の高い作品なので、一度は観てほしい。
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