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恐怖コラム
塩の致死量
情報提供・影之兎チャモ

 どんなものにも致死量が存在する。馴染み深い調味料「塩」もその例外ではない。塩の致死量は一キログラムにつき0.5g〜5.0gと言われている。致死量に達しなくとも、大量の塩を一度で取り入れることにより脳浮腫や肺浮腫といった障害が起こることもあるという。
 この塩で、一人の少女が死んだ。

 場所はドイツのルートウィヒハーフェンの病院だった。ある少女が脳性発作で病院に担ぎ込まれた。
 原因不明。なすすべなく、そのまま少女は亡くなった。
 医師たちは原因を解明するべく少女の身辺とその体を解剖した。すると恐ろしいことが判明した。

 少女は両親から虐待を受けていた。そして、血液中の塩化ナトリウム(塩)の濃度が極端に高い状態であった。
 その事実を突きつけられ、母親(当時22歳)は、少女が塩を勝手に飲み込んだに違いないと主張した。しかし検証の結果、塩は少女の手の届かない場所にあったことが判明した。そもそも、そんなにも大量の塩を普通の人間が飲み込むことなどありえない。塩辛くて、吐き出してしまう。

 少女は強制されて、何者かに塩を食べさせられたのだ。

 そして後日、少女の母親は逮捕された。大さじ山盛り2杯分の塩を加えたプリンを少女に食べさせたという警察の訴えによるものだった。
 少女はどのような気分で恐ろしく塩辛いプリンを完食したのだろうか。そして母親は、どのような気分で恐ろしく塩辛く、嘔吐してもおかしくないほどのプリンを実の娘に食べさせたのか。

 心の闇に致死量があるのならば、それはいったいどれほどの量なのだろう。



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