柚と倉庫の淫魔
扉の向こう・2
「むにゃ……」
足下に風があたり、柚は目を覚ました。そして起き上がってみると、いつもは堅く施錠されている倉庫の奥の扉が開いているのであった。
「あれ、ここっていつもカギかかってるよね…」
目をこすりながら柚は扉の奥を見つめる。奥は真っ暗だが、遠くにピンク色の光が見える。そして光と共に、甘い匂いがうっすらと流れてきていた。
「なにあれ、はじめて見る……」
匂いに惹かれるように柚は扉の奥へゆっくりと歩き出す。扉を渡った瞬間、柚の両足首に何かが絡みついた。
(ツカマエタ……)
柚の脳裏に少年とも少女ともしれない声が響く。その瞬間、柚は両足首を絡みついた物体に引っ張られて尻もちをついた。
「きゃっ!」
叫んだと同時に勢いよく柚は扉の奥へと引きずられていく。
「な、なにこれ、助けて……」
なすすべもなく柚は暗闇に飲み込まれていった。
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