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リップの味



自分の趣味に気づいたのは中学2年の頃、俺が通っていた男子校では遠足などのあいだに挟むレクリエーションにあった女装コンテストというものに参加させられた時のことだった。

今では女装をするための服を揃えやすいと、前向きに捉えているからこそ良かったと思えるがその当時は俺のコンプレックスであった低身長を理由にクラスメイト達に推薦され女装コンテストに出されることになり、服は姉がいるというクラスメイトが持ってきた数年前に使われていたといういい匂いのしたセーラー服を着ることになり、メイク道具やウイッグはコスプレ趣味のクラスメイトが持ってきてくれた。

当日、セーラー服を身にまとい、自前の紺の膝下の長さのソックスを履き、なるべく女の子に見えるようにメイクを施してもらい、金の肩甲骨程まである長さのウイッグを被り鏡を見ると、地味ということに定評のあった俺の顔は美少女に変身していた。

「うおお、ゆーせーすげええええ!!」
「お前女だったのか!!だからチビだったのか!!」
「俺バイなんだけどさ、優成もバイだよな確か。俺と一発どーだよ !!」

と、引くくらいに女装した俺を愛でる男達。

「私、そんなに可愛い?」

と冗談混じりに猫なで声でいうと

「まじで女にしか見えねー」
「やべー、ウインクしてみてよ」
「写メとっていい?」

と、とにかくモテる俺。

俺はその日、女装をして男どもから賞賛の言葉を浴びせられることに言いようのない快感を得て、とにかく小遣いや年玉を女装道具に使い込み・・・そして今に至るわけだが。

電車に乗ると痴漢されるし街に行くとナンパされるし・・・で、俺はそれなりに楽しんできたが1つ問題があった。

親だ。

女装している時の姿を親に見られるのはまずいと思い、隠し続けてはいたがどうしても限界はあり一時期女装をすることを控えていたけどストレスが溜まって仕方が無かったので結局女装は続けることになっていた。

そんな時にでてきた転勤話。

俺は歓喜した。

両親には適当な理由をつけて俺は一人で暮らすことにしたのだ。
最初は渋っていた両親も、もう高校生だからと言う理由と遊ぶ金は自分で稼ぐという約束で一人暮らしを承諾してくれた。


まぁ、なんというか・・・そういうわけで俺は今充実している。





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あきゅろす。
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