小さなお話たち 桜の呪い 2 僕の慕っている人は男だ。 僕は小学生の頃、気づいた時には既に男性相手にしか恋ができないやつだった。 そして、中学三年生の時に恋をした。 クラスの中心にいるような人で僕とは正反対のタイプだった。 爽やかなスポーツ少年だった。 きっかけは、球技大会の時に足をくじいた時に真っ先に気づいて保健室までおぶってくれた事だった。 それから好きになって、彼を追いかけてこの高校に入ったほどだ。 学力の問題だったのかこの高校に上がってきた同中生は彼と僕だけであった。 馬鹿みたいな話だが、彼に恋心を抱いていたものの、学力の問題で、追いかけてこれなかった女生徒の、泣き崩れる顔を見て優越感を感じていた。 僕は、最低なやつだ。 ・・・彼は僕に、気づいていないのか、はたまた僕と、知り合いであることを周りに知られたくないのか、高校に上がってから僕に一度も話しかけなかった。 ・・・そう、仲のいい友人だったり親友であれば男であっても僅かではあるが希望はあったのだ。 でも、僕は彼に言わせればただの根暗なストーカー男だ。 だから僕は『呪い』の力を借りたいのだ。 僕は彼の下駄箱に折り目を何度も擦った手紙をこっそりと入れた。 「一週間後の放課後に中庭で待っています。」 名前は書けなかった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |