ボクがヒーロー
3
「!?」
怯えた表情の彼は、まるで子供のようで。
傷つくのが怖くて、怖くて、しょうがないような顔をして。
そんなの、甘えだよ、ねえ。
「ごめんなさいで帰ってくるの?
それで済むと、思ってるの?
本当にその人が大切だったなら、
他にやることが、あるんじゃないの?
ねえ、どう」
普段出さない大きな声だった。
部屋の静寂を、か細い声がそっと通る。
「でも、僕には、僕はなにもできなかった。
僕には、なにもできないよ。
女の子ひとりすら、護れなかったのに」
「だったらその能力で、叫んでやればいいだろ。
大切な人を殺した奴を、許さないって。
絶対仇を取ってやるって」
それだけ言って、部屋を出る。
何か言いたげそうな顔は、見なかったことにした。
そんで女の子の様な服をやめた。
髪を切って、履き慣れないズボンを履いて
髪飾りを取って。
今度はボクがヒーローになってみせるから。
抜け出せないその場所から手を取ってみせるから。
それでいつか、仇、とってやろう。
「荒神城砦自警団は、困ってる人を助けマス」
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