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ボクがヒーロー
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「神崎佐久人が亡くなった」という情報がボクらの元まで届くのに、少し時間がかかった。

こんなご時世だ。反荒神勢力のボクらにとって、こういった情報のやり取りも結構大変だったりする。



ボクが暮らしているこの家は、イヴァン、という男の子が暮らしている。

彼は例の「神崎佐久人」と恋仲にあった、らしい。

ボクはそこんところは詳しく聞いていない。



けれど、「それ」を聞いてからの彼の様子を見るに、とても大切な人だったということは、ボクの目からでも分かった。



外に出なくなった。

ご飯を食べなくなった。

眠らなくなった。

日に日にやつれていく。

部屋の隅で、写真立てを両手に大切そうに持ちながら、ごめんなさい、と繰り返しているのだ。



ボクはほとほと呆れ果てた。

全く困った野郎だな、なんて、前までは知りもしなかった汚い言葉を呟いてみる。

大切な人を失って、それでそのまま燻る気でいるのだろうか。呆れてものも言えない。

そうしてボクはまた今日も、食べる人のいない料理を作る。

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