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「なあ、着替えたいんやけど」


「どっか行けよ」




忍足と向日が睨んでくる。


理御は立ち上がったが、奏はまだ座っている。


ボーッとしているようにも見えるし、ただ無視しているようにも見える。


どこか、一点を見つめているようだった。






「・・・奏」


「・・・・・・・・・分かってるわ」




遅かったが返答が返ってきた。


一応話は耳に入っていたようだ。




奏は立ち上がると洗濯物を取り出して籠に入れた。


籠を持って扉に向かう。




「跡部には洗濯物干してくるって言っといて」



































部室から少し離れた所に5本の竿があった。



そこでいつも洗濯物を干していた。


レギュラーだけの洗物だけでも随分な量がある。





「こんだけの数をあの女一人でできると思ってんのかしら。


ずっと自分たちの傍に居るってのに」


「私たちが来る前は洗濯物どうしていたんでしょう?まさか小鳥遊さんが一人で」



「そんなわけないわ。平部員にでも押し付けてたんでしょ」




奏と理御の2人は話をしながら手分けして干していた。


コートのようすが見えるが相変わらずレギュラーは練習をしていない。




ウィルが滝と試合をしているのが分かる。

審判は日吉だ。




「ウィル、頑張ってんじゃない」


「彼が一番日吉と萩之介のこと気に掛けてますよ。

それに私たちがこうしてマネージャーの仕事をしている間、彼だけですから。2人を助けてあげられるのは」



コートに再び目を移すと滝が点を決めたところだった。


滝は嬉しそうな顔をしているし、ウィルは悔し気に微笑んでいた。



日吉の顔もほころんでいた。






「少しでも、日吉の望む日常が戻ってきてるんでしょうか」


「そう思いたいけど・・・問題はレギュラー共よ。それとあの女」



「奏って本当に小鳥遊さんのこと嫌いですね。絶対に名前で呼ばないし」



小鳥遊の名前は出さず『あの女』で会話をしている奏を理御は苦笑した。


思えば彼女の口から『小鳥遊』なんていう単語が出てくるのは本当に稀。







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あきゅろす。
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