■ 「な、・・・ッ」 全員が驚いて、呆けている。 奏の持っているタオルを皆、凝視していた。 「なんて事無い、ただの手品の一種よ。 それもまだまだ下級の・・・ね」 タオルを椅子に掛けると荷物を手にしてドアに向かった奏。 誰も止める事をしなかった。 彼女が出て行ってもずっと動かなかった。 それはそうだ。 目の前であんな高度な手品、魔法を見せられたのだから。 燃えるタオル 屑となった布切れ 何事も無かったかのように戻ったタオル そして、いとも簡単にソレをやってのけた奏。 炎が上がっているときの奏の顔は、橙が灯り、怪しく見えた。 口元が弧を描き、目元が綻んでいた。 「分かったか?奏は今度はアレをお前らでやるかも知んねぇぞ」 「來斗、彼女はやりませんよ」 來斗と理御も荷物を持って部室を後にしようとする。 各々、日吉と滝の荷物も手に提げた。 「まあ、早いうちに真実に気づいちまったほうが早いっつーこった」 來斗が最期に忠告を下し、2人は扉を閉めた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |