[通常モード] [URL送信]





午後の授業は突き刺さる視線を掻い潜ぐって、すべて終了した。





本当の舞台はこれからだ。














部室の扉を開くと視線が集まる。



來斗は、そんなの一切関係ねえ。とでも言うように一番最初に部室に入る。



理御と奏は来斗の後から入っていった。









來斗は着替えるためにロッカーを開いた。



だがロッカーの中は道具が一切入っておらず、代わりに紙ゴミが詰め込まれていた。



朝の続きか。







「残念だったなあ浅葱!!」



「お前の場所はもうねえよ」




向日と宍戸が意地の悪そうに笑う。




ああ、こいつらか。




奏は来斗のロッカーに近づくとゴミを右手でわしづかみにした。



向日と宍戸は不思議そうに見ていた。




そして






「ゴミはちゃんと捨てましょう」




向日のロッカーを乱暴に開けるとゴミを投げ入れた。




「な、!!てめえ!!」


向日が慌ててロッカーからゴミを取り出す。




奏は一生懸命ゴミを掻き出す向日を見て、鼻で笑った。




「あんたたちでしょ?そのゴミの持ち主。



しかも授業で使ったプリント。名前が書いてあんのよ。ちゃんと持ち主の所へ返さないとね」



「ふざけてんのか!!」



「ふざけてないわ。いたって冷静。いつもどおり。



あんたたちこそ、頭大丈夫?どっかでネジ落としてきてない?」




奏が自分より背の低い向日の頭をコツンと叩く。



「てめえ!!」



向日から拳が飛んでくる。




宍戸が止めようとしたが間に合わなかった。








「―――ッ」



奏の右頬に拳が当たる。



倒れるまではいかなかったが、奏はフラついた。




理御が急いで駆け寄った。




「奏!!なんで避けなかったんです!!


あれぐらいのスピード、貴方なら避けられたでしょう!」




いてて、と呟いて奏は答えた。




「一発殴らせとけば後から真実に気づいたとき、自分のやったことに充分後悔するでしょ。


向日、あんた今やったこと忘れないでよ」



そう言って奏は部室の外に出た。



治療するために。









































部室に残った來斗、理御。そして向日と宍戸は暫く口を開かず黙っていた。




その沈黙の中で來斗が口を開いた。




「理御。このゲーム、乱入者は来ないだろうな」



向日と宍戸が居るにも関わらず、ゲーム盤の話をしてきた。



理御は少々考えるとあっ!と言った。





「もしかしたら、・・・・・・あの人が・・・」



「誰だ」



「・・・・・・ 」






「何ッ!!」







理御は小さな声で答えたが來斗にはすべて聞こえていた。



來斗は大声を出して驚いた後、質問した。




「あいつは・・・・・・今、どこに居るんだ」



「分かりません。・・・けど、彼は奏の居るところであれば何処でも来ますよ」



「・・・ちっ、・・・厄介だな」





予定が変わるようなことがあれば、これからの動きに支障が出る。




2人はとりあえず悩むことを捨て、今は部活に専念しようと決めた。













それから少し経つと奏が戻ってきた。






[*前へ][次へ#]

8/11ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!