[携帯モード] [URL送信]

あなたはどこへ行くの?
私をおいて・・・
誰のために、何のために歩いているの?

ずっと私の前には大きな壁があった。
大きくて、広いあなたの背中。

追い越す事ができなかった
後ろについていくので、精一杯だった。
おいていかれないように・・・・

「弱いくせに、頑張りすぎだ」
あなたの口癖だね。
いっつも否定してた
「弱くなんかない!」
でもね・・・・・ほんとは、分かってたよ。
弱いくせに、強がってた。
でも・・でもね、そうでもしないと、あなたについていけないんだ。
認めたくもなかった・・・弱いなんて。

あなたは、私が寒いって言ったら私を抱きしめてくれたね。
「こんで、あったかいだろ」
私は、バカヤローとか死ねだとかいっぱい言った。
でも、ほんとはとってもあたたかかった
寒さなんてすぐ吹っ飛んだんだ。
離れろなんて言ったけど、ほんとはずっとこのままでいてほしかった。
だって、あなたの温もりを感じたから。
こんなにも近くに感じれたから・・・

あなたは遠い。
誰よりも近くにいるのにあなたはこんなにも遠い
手を伸ばせば届く距離だ。
なのに出来なかったのは、怖いから。
拒絶される事が怖い・・・・

他には何ものぞまない。
だから、傍にいる事だけは許して・・・

願っていたのに・・・・
あんなにも・・強く、強く!


ひとりにしないで

そんなに遠くに行かないで

追いつけなくなる・・・・

もう、強くならないで。


私は、あなたといたいから歩いてく。
あなたは?
あなたはどうして歩くの?
どうしてこんなにも強くなるの?


私の前には大きな壁がある。
そのせいで前なんか見えない。
ただひたすらその壁を見つめてるしかない。

私の前の壁はくずれた・・・・

一瞬にして、倒れてしまった。


他には・・・何も望んではいなかったのに・・・
どうして、どうして・・・・

嘘だよ・・・・嘘だ・・・

「なぁ・・・お・・まえ・・は、 なん・・の・・ために・・つよ・・く・・・なる・・・んだ・・?」
必死に口を動かして呆けている私に質問した
私は、必死に動かない唇を動かした

「私は・・・あなたの・・・ために・・・」

俺も。と、かすれた声で言った

あなたが伸ばした傷だらけの手を私は必死に握り締めた。
こんなにも、あなたに触れることが簡単だった。

「さむいよ・・・さむい・・よ・・」
私は、嘘をついた・・・・。
ほんとは、あなたの温もりを感じたかったから

「ごめ・・ん・・な。ま・た・・こ・・んど・・な・・?」

あなたは笑ってた。
私は涙が流れた。

泣いたのは初めてなくらい、久しぶりだった。

お願い・・・お願い行かないで!
私を・・・ひとりに・・・・っ

声になんてならない・・・
口が、唇が、動かない。



「−−−−−−−−−ー。」


「冷たい手・・・・こんなにも近いなら・・・もっと触れておけばよかった・・・・・」


触れようと思えば・・・・

伸ばそうと思えば・・・・きっと、いつでもできた。

出来なかったのは、勇気がなかったから。

踏み出す勇気がなかったから。

いまさらながらに思う。

弱い。


ひとりが怖かったから、こんなにも「ひとりにしないで」と望んでたわけじゃない。
あなたを失うのが怖かったから・・・
こんなにも・・・強く・・・強く・・想ってた

そうよ。好きだったの・・・・
こんなにも・・・・
涙を流すほどに。



「お前、弱いくせに・・・頑張りすぎだ・・・」


わかってた。
でも、弱いから・・・頑張らなければならなかった
あなたに・・追いつきたかったから。





もう、私の前に大きな壁はない。





もう、届かない。
伸ばそうとしても。
触れようと・・・思っても。




「寒い・・・・寒いね・・・・」

あなたの温もりが恋しい


あなたは・・・・・私が好きだった?

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!