君だけでいい
◇
今日はレッスン。
とはいっても、週一におなじみのピアノのレッスン、ではなく。
目の前に対峙している講師は創成No.1ヤンキー、そして俺の…彼氏?
付き合いたての彼氏と二人きりで…これは一応デートなのだろうか?
しかし端から見たら、タイマン勝負に見えるだろう。それか、至って平凡な俺の外見からして、狩られる直前か?
「反応は良いから、そっから流れをつけてこーね」
ザッ、とこちらに一歩踏み出す。
「ちょ!待って下さい」
展開にはイマイチついていけないが、一応これだけは言っておかねば。
「ん?」
「出来る限り、手は使いたくないんですが」
「ん?ああ、キレーな手してるしね。殴る感触が嫌って奴もいるしなぁ」
そうではないんだけど。
出来ればペダルを踏む両足も使いたくないんだけど。
…それって全部ダメじゃん!!
「いえ。実は小さい頃からピアノを…」
「ピアノ?あーアレ、なんか眠くなるよね。おっけ、そんじゃ足技上等ってことで」
「はぁ…」
軽く流されてしまった。
まぁ足なら、指をやられるよりはなんとかなるか…な?
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