君だけでいい
◇
――どのみち、まともな選択肢はなさそうだ。
「嫌だ」
投げやりな気分だった。
もういい。
なんかイライラするし、とにかく早く終わらせてくれ。
「何だとてめぇ!」
――来る!
そう思った瞬間、右の拳が飛んできた。
軌道を見切って、襟を掴まれていた手を振り払って上半身を素早く屈める。
ゴッ!と鈍い音が響いた。
「ぐっ…いてえぇ!」
殴りかかってきた男は、壁にしたたか打ちつけた右手を押さえて、しゃがみ込んだ。
うわ…痛そうだ。
でも、悠長にそんな事を考えている暇はなかった。
「…の野郎ぉ!!」
少し離れていた残り3人が、怒号と共に一斉に俺に向かってくる。
さすがにこれは…駄目かもしれない。
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