君だけでいい
◇
その後、ぼーっとしてるうちにレトルトおかゆを無理やり食わされて薬を飲まされて、冷却シートを頭に貼られて寝かされた。
それからは、俺の具合が悪いおかげか、あれ以上今日の出来事を追及される事はなく。
正直、助かった。
それにしても…腕、すっかり逞しくなったなぁ。
いつの間にか大人の男っぽくなっちゃってさ。
巣立ちの日も近いかも…
浅い眠りを繰り返してふっと目を覚ます度に、すぐ横に黒い髪と見慣れた背中があって、なんだかちょっとほっとする。
俺のベッドに背中をもたれて、本を読んだり携帯をいじったりしてるみたいだった。
「もう大丈夫だし風邪うつるから、帰っていいぞ」
「やだ」
――即答。
過保護はお互い様かなぁ。
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