君だけでいい
◇
「したら、それまで興味なさそーにうたた寝してた仁志サンが、ウキウキして起き出してきちゃって」
「…強いんだよね?」
「そりゃもう誰も勝てねーよ!パンチも蹴りも速くて見えねーの!陽介もよく食らいついてたけどなぁ。連戦の疲れがなけりゃーもう少しいけたと思うんだけど…」
哲史はいつの間にか、興奮した子供のように早口になっている。
「お前、なんか楽しそうだぞ?」
「だってすっげかったんだってマジで!」
ああ…頼みのてっしーまでこんな調子じゃこの先が思いやられる、と俯いてこめかみを押さえていると。
「でも、それから俺ら仁志さんと結構平和にやってるよー」
哲史がサラッと事も無げに言った。
なに?何故?
そんな事があったのに?
「へ?」
「なんか一回やり合ったら興味が失せたみたいね。まぁ陽介はいつか殺すとかいって嫌ってるけどねー」
これは喜んでいいのか?
ヤンキーの生態ってよくわからない。
とその時、頭上からいきなり声が降ってきた。
「呼んだー?」
[*back][next#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!