君だけでいい
真相
キーンコーン…
昼休み開始を告げるチャイムが鳴り響く。
哲史に弁当を食べさせながら久々に話し込んでいるうちに、あっという間に小一時間経ってしまった。
陽介はちゃんと昼飯を買って食べるだろうか?
奴は俺が食わせなければ、面倒くさがって食事をあまり摂らない。
あの細マッチョは、俺の長年の努力の賜物だ。
喧嘩で鍛えてるせいもあるけど。
――そうだ。
陽介といえば、聞きたいことがあったんだ。
「そういえばてっしー」
「ん?」
弁当をうめーうめー言ってキレイに食べ終え、暖かいお茶を両手で握り込んで、おじいちゃんのようにまったり眠そうにしている哲史だったが。
「入学式の日さ、陽介が珍しく大怪我して帰ってきたんだけど」
「あーあーあー…」
俺が切り出したとたん、脱力した声を吐き出しながら、ズルズルと深くベンチに沈み込んで太陽を仰いだ。
なんか思い出したくないことだったんだろうか?
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