君だけでいい
◇
冷凍食品は、健康に悪そうなのでイマイチ好きになれない。
中学生くらいから母に料理を任され、自分で食品を買うようになって、成分表に書かれてるカタカナの羅列を見るとなおさらだった。
「食ってみてー。陽介、一口たりともぜってー食わしてくんないんだよね」
「そうなの?」
心の狭い奴。
「…食べる?」
哲史の心底羨ましそうな様子が陽介への心配を上回り、つい口をついて出てしまった。
「いいの!?じゃあ近くの公園いこー」
哲史は弁当袋を大事そうに胸に抱え、弾む足取りで先を歩き出した。
…サボり確定か。まぁいっか、ちょっと聞きたい事もあったし。
――陽介、今日は何か適当に買って食べてくれ。
聞こえるはずもないだろうけど、心の中でこっそり謝罪した。
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