君だけでいい
◇
「という訳だからー、俺らがいない時は裏通りとかこの学校近づかないでね」
衝撃の事実を知ってショックを受ける俺に、哲史はいつものひょうきんな口調に戻ってにやっと笑った。
「んで、用事って?」
「あ」
そこに鳴り響くチャイム。
ヤバい。
4時間目が始まってしまった。
「ごめんてっしー…授業始まっちゃったな」
「いいよ別に。古文なんてだりーから」
俺のせいだし、それもどうかと思うので。
「でも陽介に弁当渡してもらおうと思っただけだから、今からでも戻ったほうが」
今の今までその存在をすっかり忘れていた弁当袋とミニ水筒を、目の前にぶら下げた。
「相変わらず過保護だなーマサキちゃん」
哲史は呆れた様子でそれを受けとる。
「でも美味そうだよなーマサキちゃんの手作り弁当…うちのと違って冷食固めじゃないし」
「そう?」
[*back][next#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!